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武家の時代を偲ぶ/古都鎌倉と武家文化(鎌倉国宝館)

2012-12-09 09:32:58 | 行ったもの(美術館・見仏)
○世界遺産登録推進 3館連携特別展『武家の古都・鎌倉』

鎌倉国宝館 特別展『古都鎌倉と武家文化』(2012年10月20日~12月2日)

 この秋、神奈川県立歴史博物館、神奈川県立金沢文庫、鎌倉国宝館で開催されていた三館連携特別展。最後に残った鎌倉国宝館に、先週、駆け込みで行ってきた。鎌倉以外からも武家文化にかかわる文化財を将来し、国宝7件、重要文化財43件を含む計79件の名宝を展示する、いつもよりちょっとゴージャスな特別展。

 第1章「武家の信仰と造像」では、まず鎌倉武士の発願像を紹介。見たことのない仏像が目立つ。慶派らしい力強い地蔵菩薩坐像(康慶作)は、静岡・瑞林寺から。六波羅蜜寺の地蔵菩薩坐像(運慶作)に似ているように思う。藤沢・養命寺の薬師如来坐像は、豊かな肉付き、頸の短い、丸顔。私は好きな仏像だが、あまり慶派らしくない。宗慶という、慶派の中でも古参の仏師の作だという。静岡・北條寺の阿弥陀如来坐像は、上品上生(?)の来迎印を結ぶ。肉体も衣文の表現も、生々しいほどリアル。

 次に宋風彫刻の諸相は、鎌倉市内の寺院からお出ましの像が多かったが、お堂では、あまり近づいて拝観できないところもあるので、こういう機会は嬉しい。浄光明寺の勢至菩薩像の指先のエレガントさに見とれる。また、高僧の肖像彫刻として、栄西(寿福寺)・夢窓礎石(瑞泉寺)・忍性(極楽寺)か出ていたが、忍性像ってあったっけなー? あまり記憶にない。

 第2章「鎌倉文化の展開」から、後半の展示ケースに移る。鶴岡八幡宮の古神宝『籬菊螺鈿蒔絵硯箱』は、これまで何度も見てきたもので、北条政子が愛用したという所伝のみ記憶に残っていたが、頼朝が後白河法皇から下賜されたものと再認識して、興味が増した。

 書画は展示替で見逃してしまったものが多かったが、唐招提寺から来てくれた『東征伝絵巻』を見ることができて、うれしい。展示の巻四見返しの施入銘によれば、極楽寺の忍性によって制作され、唐招提寺に施入されたものと分かるのだそうだ。へえ~。それから、京都・大徳寺の五百羅漢図(南宋)、円覚寺の五百羅漢図(元、伝・張思恭筆)、建長寺の十六羅漢図(室町)は、いずれも指先からビームを放って、雲中の龍を驚かせるという、同一主題の画幅を並べ、比較鑑賞できるようにしてあるのが面白かった。大徳寺の五百羅漢図(奈良博の『聖地寧波』展で全部見た)は、はじめ鎌倉の寿福寺(一説に建長寺)に伝来し、早雲寺(箱根?)、方広寺(京都?)を経て、大徳寺の什宝になったという。これにも、へえ~。

 第3章「頼朝と鎌倉武士」で楽しみにしていたのは『男衾三郎絵詞』。東博所蔵だが、あまり見たことのない絵巻だと思う。いま自分のブログ内検索をかけても出てこないし。にぎやかな色彩、生き生きした描写、とりわけ頻出する大きな弓の弧が、画面にリズム感を与えている。跳ね踊るような馬の姿もいい。でも、よく見ると血の流れる生首とか、凄惨な描写が、絵本のような無邪気な画面に同居している。

 それから、板橋区立美術館から出品の『源平合戦図屏風』は狩野一信(増上寺の五百羅漢図の)筆。おお~ここでこの作品が見られるとは。東博の伝頼朝坐像(彫刻)は、目に入った瞬間、あ、北条氏の…と思った。建長寺の北条時頼坐像に似すぎている。山梨・善光寺の大きな頼朝坐像は、どこかで見たと思ったが、たぶん奈良博の『頼朝と重源』だな。称名寺光明院の大威徳明王坐像(運慶作)は、金沢文庫で何度か見ているが、背面を見ることができたのは初めてではないかと思う。ちょっとドキドキした。

※3館連携特別展『武家の古都・鎌倉』:金沢文庫と神奈川県立歴史博物館の記事
コメント (2)
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