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見もの・読みもの日記

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秋の文化財探訪(5):三室戸寺

2009-11-06 21:41:32 | 行ったもの(美術館・見仏)
■西国第十番 明星山三室戸寺(京都府宇治市)

 秋の文化財探訪最終日(11/3)は、京都在住の友人からお誘いを受け、三室戸駅で待ち合わせ。冷え込みは厳しいが、なんとか持ち直した天気に、朝からウォーキングと参拝客の姿が多い。

 先にご朱印をいただき、9時のご開帳を待って、本堂に入る。84年ぶりのご開帳となるご本尊は、小さな金銅仏だった。お厨子の前で参拝した後、内陣に座って、お坊さんのお話を聞く。

 今から千二百年前、宮中に金色の光が射し込むのを見た光仁天皇は、人に命じてその源を求めさせた。すると、山中に滝があり、滝の中に身の丈二丈(約4メートル)の千手観音が出現した。滝に飛び込み、千手観音に近づこうとすると、そのお姿は消え失せ、1枚の蓮弁が流れてきた。その蓮弁を拾い上げると、一尺二寸(40センチ弱)の二臂の尊像と化した…というのが、秘仏ご本尊の由来だそうだ。なかなか話の巧いお坊さんで、滝壺の中に4メートルの千手観音が現れるくだりには、うっとりと聞き入ってしまった(ご開帳法要の写真に、緑の衣で写っているお坊さんである)。

 その後、桓武天皇は千手観世音菩薩像を建立し、滝壺に示現した尊像を胎内に納めた。しかし、寛正3年(1462)の出火により、千手観音像は灰燼に帰してしまった。よって、現在でも三室戸寺のご本尊は、公式には「千手観音」とされているにもかかわらず、実際の秘仏ご本尊は二臂(聖観音?)なのである。納得。

 でも愛らしいご本尊だなあ。ウエストが細く、左右に流れる長い天衣のせいで、フレアスカートをまとった貴婦人のようなシルエットに見える。看護婦さんの帽子のような冠も特徴的。お坊さんもおっしゃっていたが、法隆寺・夢殿の救世観音に少し似ている。胸の前で組み合わせた両手のかたちも救世観音に似ていなくもないが、救世観音が宝珠(のようなもの)を持っているのに対して、こちらは空手である。

 さて、本堂の隣りの宝物館に入ると、阿弥陀三尊像の右側、観音菩薩像が背中を向けて据えられている。実はこれ、衣の裾から覗くかわいらしい足の裏を鑑賞するための特別拝観。題して「観音様の足の裏を拝する会」。確かに愛らしいのだが、これってどうなの? もとの向きに戻したら、観音様の顔が怒ってたりして…と友人と囁き合う。

 JR宇治駅まで歩いて友人と別れ、最後に東寺の宝物館『東寺曼荼羅の美-マンダラワールド-』を見て、早めの帰途についた。

※東寺(教王護国寺):いつの間にか、カッコいいホームページが立ち上がっていた。
http://www.toji.or.jp/

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