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見もの・読みもの日記

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秋の文化財探訪(4):神話(奈良県美)、西方寺、大蓮寺、今熊野

2009-11-05 23:17:39 | 行ったもの(美術館・見仏)
 2日目(11/2)の続き。正倉院展を見終わって、奈良県庁方面に向かう。木立を透かして興福寺の様子を窺うが、広い境内を覆う人の列。「お堂でみる阿修羅」は、アッサリあきらめる。

奈良県立美術館 平城遷都1300年祭プレ展示 特別展『神話~日本美術の想像力~』(2009年10月24日~12月24日)

 近代日本の洋画・日本画による神話画・歴史画を展示する企画。こちらも正倉院展期間中は無休であることを事前に確かめておいた。題材は国粋的だが、色濃く西洋美術の規範に影響されていて、そのアンバランスがものすごく面白い。ちょっと昨今の武将ブームに通じるものがあると思う。ヤマトタケルなんて、どの画家も勝手な空想でカッコよく描きすぎ。気に入ったのは、鈴木松年の『日本武尊・素戔嗚尊』(六曲二双屏風)、前田青邨の『小碓命』(女装したヤマトタケル)、菊池契月『浦島』三幅対など。寺崎広業の『大仏開眼』は、よく見ると、実在する正倉院御物をさりげなく描き込んであって面白い。奈良滞在はこれにて切り上げ。

■西方寺(京都市左京区東山二条)

 再び京都に戻り、非公開文化財特別公開(2009年10月31日~11月8日)の気になる寺院を2つ回る。まずは、重文・阿弥陀如来座像が初めて一般公開されている西方寺(東山二条)。白河天皇により建立された法勝寺の遺仏と伝えられているそうだ。円形の光背は小さな化仏が隙間なくびっしり並ぶ珍しいもの。その上に大きめの化仏十三体が配されている(光背は時代不詳)。(→京都新聞 2009/10/31記事

大蓮寺(京都市左京区東山二条)

 西方寺から、寺町の路地を5分ほど歩くと、大蓮寺がある。洛陽観音第八番の十一面観音菩薩、本尊安産阿弥陀如来、夜叉神明王など、多数の仏像を公開。祇園社(八坂神社)の本地仏だったとされる重文・薬師如来は初公開。奈良・元興寺や京都・神護寺と同系統の、肉厚で逞しい薬師如来立像である。平安初期。

■西国第十五番 真那智山観音寺(今熊野)(京都市東山区)

 今月からご開帳の始まった今熊野観音寺へ。泉涌寺、月輪御陵に接し、森閑とした境内は、そろそろ紅葉が始まりかけていた。ご本尊は左手に水瓶を持ち、長い右手を垂らした十一面観音菩薩。本堂内は、わりとほったらかしなので、ゆっくり拝観することができる。

 先だって友人から「今熊野に行くなら即成院も忘れずに」というメールを貰っていたので、最後に泉涌寺門前の即成院に立ち寄る。ご本尊は、ちょっと眠たげな藤原仏の阿弥陀如来。周囲を、楽器を携えた二十五菩薩が取り囲む。参拝客がまばらで静かな境内に比べて、本堂の中が賑々しいのが可笑しい。

 この日も不安定な天気だったが、夕方になって、急激に気温が低下。11月下旬から12月上旬の寒さとなり、震えながらホテルに逃げ込む。
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