「音楽&オーディオ」の小部屋

クラシック・オーディオ歴40年以上・・身の回りの出来事を織り交ぜて書き記したブログです。

神様は公平だった!

2014年01月14日 | 独り言

いつも原稿を書いた後にタイトルを決めるのだが、今回ほど迷ったことはなかった。結局、原題に落ち着いたが「世の中、そうそううまくはいかない」にも未練がある。最終的には読者のご判断にお任せということで。

さて、「好事魔多し」(こうじ ま おおし)という諺がある。

ご存知の方も多いと思うが、念のためその意味を簡単に述べると世の中良いことばかりは、そうそう続かない」

これを敷衍すると、普通の状況なら邪魔が入っても特に何も思わなくても、非常に楽しみにしていることに邪魔が入るとその邪魔に対する残念な気持ちが大きくなり、そういう心理的な側面からこの諺を使うことが多い」。

いずれもネットからの引用だが、まさに「言い得て妙」でピッタリの事柄が我が身辺に起こった。

日頃から愛してやまないSPユニット「AXIOM80」が何と故障してしまったのである!

どうも今年は新年早々からランキング三冠王になったり、オーディオ仲間が遠路はるばる来てくれたり、プリアンプの修繕のおかげで一段と音が良くなったりして、あまりにも順調すぎるので何か悪いことが起こりそうな予感がしていたのだが、やはり「神様は公平だった」(笑)。

以下、経緯を述べてみよう。

このところ連日ぶっ通しで「AXIOM80」用のWE300Bアンプを酷使していたので、当分休憩させようと待機中の「PX25真空管アンプ・1号機」に入れ替えてみたのが11日(土)のことだった。

アンプを代えたときには恒例の儀式として必ずSPコードのプラス・マイナス接続の位相チェックをやっているので、今回もテストCDを使って200ヘルツ以下の音声信号を入れてやったところ、左チャンネルの「AXIOM80」から微かに、それでも4mほど離れた距離からでもハッキリ聴きとれるぐらいに「バタバタ」という付帯音が聞こえてきた。

アレッ、おかしいなあ!通常の音楽を聴く分にはいっさいそういう症状が出ないが、低音域の連続信号を送ったときだけの現象のようである。

さっそく、同じ「AXIOM80」の愛好者のKさんに問い合わせてみると「それは心配でしょう。まるで自分の子どもが病気になったようなものですね。コントラバスなどの楽器が入ったCDで症状を確認されたらいかがでしょう。万一のときは病気と同じで早期発見、早期治療に越したことはありませんのですぐに修理に出された方がいいですよ」。

さっそく、ゲイリー・カー(コントラバス奏者)のCDで確認してみると確実に同じ症状が出てきた。これでユニットの故障であることは間違いなし。ヤレヤレ、また面倒くさい作業をしなければいけないのかと思わず天を仰いだ。老体にはこたえる(笑)。

これで「AXIOM80」を修理に出すのは手持ちの4本のうち3本目になる。普通のユニットに比べて故障が多いのは否めないが、耐久力が持ち味の工業製品ではないのだから十分に許せる。

「余裕を持って設計してあるので故障しないが、その代わりにそれほど“いい音”ではない」ユニットと「“いい音”だが、その代わりにギリギリのレベルで設計してあるので故障しやすい」ユニットのどちらを選ぶか、オーディオマニアの答えは自ずと明らかだろう。

作業にかかる前に、主治医にあたるSP修理専門店(昨年4月に岡山から大阪へ移転)に電話してみた。このお店は必ずしも儲け主義ではないところが気に入っている。たとえば、以前に修理歴があると、二回目は無料になったりすることがあるし、返送の送料は取らないなど、まるでコセコセしたところがない。

その店主さん曰く「すぐに送ってください。おそらくカンチレバーとコーン紙の接続部のヘタリだと思います。新札が使い古されてシワシワが増えてコシが無くなった状態と思えばいいです。

(接続部に)接着剤を微妙に沁みこませて強度を保つ必要があります。乾かしてから試聴を繰り返すためにかなり時間がかかりますよ。また、左右両方のバランスをとる必要があるためにペアで送付してください。もともと微妙なツクリのため個体差が大きく、左右不揃いが多いのがこのユニットの特徴です。」


          

一方的にまくしたてられて、こちらは「ハイハイ、そうですか」と相槌を打つばかりだが(笑)、カンチレバーとは上の写真の中の水色で囲んだ部分のことである。この変わった方式がAXIOM80の感度の良さに直結する最大の特徴で通常のユニットでは円形の外周部に襞が入ったエッジ形式になっている。

ところで、このユニットのツクリは見れば見るほど奇妙な形で何だか宇宙人を連想してしまう。こういう奇抜な形からでないと、あの独特の音が出てこないのも事実なのでまさに宇宙的な発想の産物といえる。

なお、(このユニットは)店主が仰るように個体差が多いこともたしかで左右の音量が違ったりすることがよくある。

取り分け、オークションなどで手に入れたものは“ペア合わせ”はまずやってないと思った方がいいので、そういうときははじめから専門店に送って調整してもらった方がベター。鑑賞は長期にわたるものだし、「まあ、いいか」は禁物(笑)。

さあ、嫌も応もなくさっそく作業に取り掛かった。AXIOM80を取り出すだけならまだいいが、修理の日数がどれだけかかるか分からないので当面、別のユニットを取りつけることにしたが、これがまた一苦労。

はじめに補助バッフルを使ってアルテックの403Aを取りつけて聴いてみたが、まあ我慢が出来るといった程度でリチャード・アレンの「ニューゴールデン8」(イギリス)の方が魅力がありそうなのでサボリたい心を叱咤激励して入れ替えてみた。

                

こちらのほうがアルテックに比べて「メカニカル2ウェイ」の利点はあるものの、それでもジャズを聴くとシンバルの響きに不満を感じたので余っていたJBL075ツィーターをマイカ・コンデンサー(0.15μF)でローカットして付け加えてみた。しかし、これは一長一短でクラシックを聴く場合は無い方がGOOD。

「ツィーターを付け加えたいと思うのは、高音域に原因があるのではない。それは中高音域の透明感が不足しているからだ。」の至言を思い出して、本体は置いたままでSPケーブルを外してツィーターは使わないことにして、相性のいい真空管アンプを模索することにした。

「周波数レンジ」至上主義から「透明感」重視へとボチボチ脱皮しないとねえ(笑)。

聴き始めてから2日ほど経ったが、口径20センチのフルレンジにしてはエンクロージャーの容量がかなりあるのでスケール感は十分で、バランスも整っていて聴きやすいが「AXIOM80」と比べるのは、ちょっと酷のようだ。

ああ、(「AXIOM80」が)早く戻ってこないかなあ~。
 

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