前々回からの続きです。
近々、県外からオーディオ仲間がお見えになる予定なので、おさおさ準備に怠りないが、悩みの種なのがいったいどのスピーカー(7系統)を聴いていただこうか・・。ま、楽しさ半分だが(笑)。
で、大きく分けると二つのアプローチがある。
まずは、自分の好きな音(システム)を優先してこれを聴いてくださいと押し付けるのがひとつ、もうひとつは忖度して(笑)相手の好みそうな音を編成して聴いていただくこと。
どちらかといえば控えめで自己主張をするのが苦手なタイプなので(笑)、今回は後者で行くとしよう。
となると、日頃の「AXIOM80」とか「トライアキシオム」とかの自作の箱に容れた自己流はとても個性的な世界に属しており、けっして「王道」とはいえない。それはもう重々わかっているつもり。
となると、我が家の「王道」スタイルといえばもうこれに尽きます。
いつも「サブウーファー」として、縁の下の力持ち的な存在だったウェストミンスターが久々に陽の目を見て主役として登場。
とはいえ、中に入っているユニットはオリジナルではなくてワーフェデールの「スーパー12」(口径30cm:赤帯マグネット付きのフルレンジ)である。
以下、ちょっと専門的な内容になるが悪しからず~。
この箱の特徴である長大なバックロードホーンと重量(104kg)とを勘案しながら「質感(分解能)と量感」のバランスを取るための実験を散々繰り返しておよそ30年、最後に辿り着いたのがこのユニットだった。
ちなみにタンノイのユニットやJBLのD130など口径38cmのユニットは残念なことに自分の耳にはすべてアウトだった。
で、今回は音質に悪さをする「コイル」はいっさい使わず「スーパー12」をフルレンジで伸び伸びと鳴らす、そして若干の高音域不足を補うためにクロスオーヴァーを8000ヘルツあたりにして同じワーフェデールの「スーパー3」(口径10cm:赤帯マグネット付き)を付け足そうという算段。
同じワーフェデールブランドだから音色がピタリと一致しているのが何とも心強い。
そして駆動するアンプは今回のお客さんが「PP5/400」(英国マツダ:出力管)の大ファンなので自ずと絞られる。
このアンプは切り替えスイッチで前段管を選択できるようになっており、今回は一番「μ(ミュー)=増幅率」が高い「AC/HL」(英国マツダ初期版)を採用して元気溌剌さを狙った。
肝心の整流管には「WE422A」からムラードの「10E/378」へと交換してスピーカーも含めてオール英国勢へと立て直し。
そして、8000ヘルツ以上を受け持つ「スーパー3」には、高音域だけの再生に限っては我が家でダントツの存在の「71Aシングル」(SRPP回路)を採用した。
システムの入り口に当たるプリアンプは「安井式」(フィリップスのE80CC×4本)、DACは「エルガー プラス」(英国:dCS)と、ベストメンバーを揃えた。
さあ、ハラハラドキドキする中でいよいよ音出しへ~。
「う~ん、参ったあ!」と思わず椅子から転げ落ちそうになった(笑)。
絶妙の「音の佇まい」、そして「芳醇な音」とはまさにこの音のことだろう。とりわけたっぷりとした豊かな低音域はこの箱じゃないと無理かもね~と思わせるほどの鳴りっぷり。
これは個人的な見解だが、オーディオの最大のネックはいかに十全な低音を出せるかにあり、そして最終的には「箱」に行き着く・・。
ちなみに、我が家ではスピーカーを置く床の部分だけ打ち抜きのコンクリートにしているが、この効果は絶大で、これが木の床だったり畳だったりすると箱の膨大な振動エネルギーが床の方に吸収されてしまい本格的な低音にはなりにくい。これだけは断言してもいいくらい(笑)。
いずれにしても「完全無欠のオーディオ・サウンドってほんとうにあるんだよねえ」なんて自惚れながら、やっぱりこれが我が家の「王道」だったのか。
お客さんのご来訪がきっかけとなってとんでもない展開になったが、たまには自我を離れて他人の視点に代えてみるのもいいみたいですね(笑)。
念のため、「PP5/400」以外の「PX25」(画像のナス管とドーム管)も試してみたが、やはり前者の「清澄感」には遠く及ばなかった。
これほどの差がはっきり出たのは初めてで、やはりフルレンジを大きな箱に容れて鳴らした時に真空管のほんとうの真価が発揮されるようだ。
さらに実験を続けて、「WE300Bシングル」や「EL34プッシュプル」にも切り替えてみたところやや決め手に欠ける感じだが大善戦、こればかりは好き好きなのであとは当日のお客様のご判断にお任せしよう。
最後に、ツィーターの「スーパー3」だが、久しぶりに「サキソフォン・コロッサス」を鳴らして「シンバル」(マックス・ローチ)の響きを確認したが、もう十分満足できる範囲だが、ジャズ好きには「075」(JBL)がいいかもしれないなあ。
どれどれ、試しに・・。
例によって「以下、続く」(笑)。