「啓蟄」(けいちつ)という言葉がありますね。
「冬ごもりの虫がはい出る」という意味ですが、時候でいえば早春に当たります。段々暖かくなると「オーディオの虫」だって活発に動き出しますよね(笑)。
「クリスキットのプリアンプが蘇りましたので聴いてくれませんか。」と、近隣のオーディオ仲間に連絡したのは昨日(16日)のことだった。
電源ケーブル「ドミナス」効果の確認も兼ねての試聴会である。
はじめにシステムの紹介をしておくと、「CDトラポ」と「DAコンバーター」はdCS(英国)のコンビで、プリアンプは「クリスキットマークⅥカスタム」、パワーアンプは「300Bシングル」、スピーカーは「ウェストミンスター」(改)。
試聴盤として仲間が持参したのは次のCDだった。
ジャズ評論家の「寺島靖国」さんが編纂された最新盤の「Vol.11」。
1年に1枚のペースで発売されているCDだそうでVol.1からずっと収集されているとのこと。「次回お見えになるときはすべて持ってきてくださいね」と、懇願したのは言うまでもない(笑)。
まずはドミナス接続の「クリスキット」を仲間に初めて聴いてもらったところ「元気のいい音ですけどボリュームを上げると中高音域がちょっと歪み気味ですね。」
「それもそうですね。真空管をμ(ミュー)の高い12AT7に代えたせいかもしれません。オリジナル仕様の12AU7に戻してみましょう。国産のものだと元気が出ないのでRCAの12AU7を奮発しましょう。」
「まったく歪み感が無くなりました。こちらの方がずっといいですよ。」
やっぱりオリジナル仕様にはちゃんとした意味があるようで”過ちを改むるにはばかることなかれ”でした(笑)。
ひとまず試聴環境が整ったところで、今回の実験テーマを二点に絞った。
まずは、
☆ 300Bアンプの「球転がし」
最初に聴いていただいたのは、つい最近手に入れた出力管「SV-300B」(スヴェトラーナ)と整流管「4274A」(STC)の組み合わせ。
次に聴いていただいたのは出力管が「6A3」(シルヴァニア刻印)、整流管が「83V」(RCA刻印)の組み合わせ。
仲間の感想は「6A3の方がお行儀が良くてかしこまった印象を受けました。その点SV-300Bは野性味たっぷりです。ジャズでは威力を発揮しますが、クラシックになると両者とも実力伯仲だと思いますよ。」
「お値段からすると古典管の6A3は大健闘ですね。整流管の83Vも1930年代半ばの製造ですから、出力管と同時期の製造のメリットはたしかにあるようです。
”83Vは内部抵抗の低い出力管と相性がいいですよ”とのお墨付きがありましたが、このほどようやくスペア管の入手のメドがついてほっとしています。」と自分。
これで我が家の300Bアンプは出力管が「WE300B」「SV-300B」「6A3」と”よりどりみどり”で、我が命尽きるまで大丈夫(笑)。
次の実験は、
☆ DAコンバーター「エルガープラス」にドミナスを接続
我が家だけの現象かもしれないが、PADの電源ケーブルの威力は再々述べているように微小電流を扱う「DAコンバーター」への接続が一番効果が発揮される。
そこで、かねてから「エルガープラス」に接続したいのはやまやまだったが、解説書には他の電源ケーブルを使うなという記述があってずっとためらっていた。
しかし、よく読んでみると「重たいケーブルだと挿し込み口に荷重がかかって破損の可能性があるので禁止。」という趣旨だった。
そこで工夫を凝らしてゴムバンドで木の台と一緒に締め上げて荷重がかからないようにして挿しこんでみた。
「百聞は一見に如かず」でご覧のとおり。
その歴然たる効果についてだが、「電源ケーブルなんかでそんなに音が変わるの?」と半信半疑の方が大半だろうし、どうせ「馬の耳に念仏」にきまっているから”くどくど”と述べると逆に反感を買いそうな気がする(笑)。
こればかりは実際にドミナスを使った人しか分からないのが残念なところ。
仲間ともども「これでdCSの実力が全開だよね。」と大喜びしたことだけ申し上げておこう。
今回の試聴会は新春にふさわしく明るい展望が開けるものだった。
「いい音」「いい音楽」への飽くなき探求は最高に楽しいですね!
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