前々回のブログ「罪作りなCD!」で紹介したように、ジャズの優秀録音は我が家のオーディオに少なからずカルチャーショックを与えてくれた。
何しろ11枚を一気に聴くほどの熱中ぶりだが、いくらクラシック愛好家とはいえジャズもそこそこ満足のいく音で鳴らしたいと思うのはオーディオ愛好家であれば分かっていただけますよね(笑)。
これを言い換えると二つの命題に直面したことになる。
☆ クラシックがうまく鳴ってくれればジャズもうまく鳴る
☆ ジャズがうまく鳴ってくれればクラシックもうまく鳴る
そりゃあ両方うまく鳴ってくれれば言うことないが我が家ではとうてい無理にきまっているし、そこでどちらが正しいかということになるが現時点での思考では後者に傾いているのも事実。
いずれにしろ受けたカルチャーショックの中身はといえば、たとえば「300B」アンプは中高音域の表現力は素晴らしかったが、低音域の重量感がいま一つ、そしてちょっともたつき気味、その一方「PX25」アンプは低音域の重量感は凄かったが高音域の鮮度がいま一つといった具合。
いわば「帯に短し、たすきに長し」でクラシックの再生ではまったく問題ないとしながらも、ジャズでは我が家を代表する2つのアンプが万全でなかったのは残念至極だった。
まあ、かなりハイレベルでの話ですがね。おっと、とうとう言ってしまったか(笑)。
いずれにしても、これは小出力の真空管アンプの限界かとも思ったが、これは我が家のオーディオのレーゾンデートルだから簡単に放棄するわけにもいかないので少しジタバタしてみることにした。
そこで予備役に編入させて待機していたアンプを引っ張り出してみた。
まずは300Bシングルアンプ(モノ×2台)。通常はエレハモや中国製の300B専用だが、今回は奮発して「SV-300B」(スヴェトラーナ)を挿入してみた。
電源トランスや出力トランス(タムラ)の大きさに期待したわけだが、実力伯仲とはいえそれほど劇的に変わることもなかった。
次に「171Aプッシュプルアンプ」に変えてみた。
有名なピアレス(アメリカ)の出力トランスにインターステージトランスはパーマロイコアの組み合わせで真空管はすべてナス管。
何とこれが総合力では一番だった!もちろんパワーがせいぜい2~3ワットぐらいだからボリュームを上げると低音域が歪み気味になるが通常のレベルで聴く限りこのアンプのバランスが一番いい。
古来、古典管マニアの間で秘かに囁かれている「困ったときは71系アンプを」のジンクスはしっかり生きていた!(笑)。
北国の真空管博士によると、
「171系はフィラメント電流のバリエーションが豊富で、私が知っているだけでもこれだけあります。
基本的なツクリがしっかりしているので類似球が多くなるわけだが何しろ旧いものでは90年ほど前に遡るのでコンディションのいい球を探すのがたいへん。
定評あるSTC(ロンドンウェスタン)の「3A/109B」を2本使ったプッシュプルアンプでスタート価格が20万円。インターステージと出力トランスはウェスタン(WE)のコア使用のリビルト品とのこと。
博士にお伺いを立ててみると「とても微妙な値付けですねえ」(笑)。
ただし「低音域に限っては71系のプッシュプルの方が上だと思いますよ。」でアッサリ諦めた。
結局、落札価格は27万4千円なり。ま、いっか(笑)。