前回からの続きです。
遂にネットアンテナの網にかかったスヴェトラーナ製の「SV300B」。
巷では「WE300B」に優るとも劣らない緻密なツクリで音もすこぶるいいという評判である。
(即決で)落札しようか、それとも潔く諦めようか。
肝心の懐具合もいささか心もとないし「To be or not to be」と、まるでハムレット並みの心境だ(笑)。
そこで、前回のブログで記載したとおりオークションでの画像と解説の是非について我が家の真空管の主治医である「北国の真空管博士」のご意見を求めたところ次のような回答が戻ってきた。
「スヴェトラーナ製の300Bは初期の頃のものが一番いいです。その中でもSVブランドがより上位とされていますが、画像を見る限りとても程度がよさそうですよ。
真空管の命ともいえるフィラメントは音色と耐久性を大きく支配しますがこの球はとてもいいツクリがなされています。
(即決の)お値段からするといいお買い物だと思います。海外のオークションでも人気があってもっと高値で出品されています。
ただし良い球になればなるほどエージングに時間がかかる傾向があります。本領を発揮させるには2週間程度必要でしょう。もし、購入されたとしたら初めに半日ぐらいは整流管を引っこ抜いてエージングしてください。」
いつも否定的な博士にしては珍しく前向きなコメントに勇気百倍の思いで踏ん切りがついたのは言うまでもない(笑)。
「SV300B」が到着したのは落札してから二日後だった。見るからに程度が良さそうだ。
さっそくアンプに挿しこみ、博士の指示通り整流管を引っこ抜いて一晩エージングしてから音出しをしたのは翌朝のことだった。
スピーカーはウェストミンスター(改)。
ハラハラドキドキワクワク、この歳になってもこういう緊張感と胸弾む感覚を覚えるのだからオーディオさまさまである。
そして第一印象は・・。
音が前に出てくるのではなくて奥の方に広がるタイプなので、これは明らかにヨーロッパ系の音である。これなら長く付き合えそうだと、ほっとひと安心。
さあ、あとは手持ちの「WE300B」とどのくらい違うのか、試聴テストである。
さっそく大好きな愛聴盤のオペラ「魔笛」(モーツァルト)で聴き比べてみた。
左右両方のスピーカーの間にステージ(舞台)が展開されているとすると、魔笛の登場人物が遠ざかっていくときの足音が無限の漆黒の闇に溶け込んでいくように聴こえるのが「WE300B」である。
その点「SV300B」は遠ざかっていく足音が早めに消えてしまうのでステージの奥行き感が短いように感じた。ちょっと余韻が足りないかな~。
とはいえ自分の耳だけでは心もとないので近隣のオーディオ仲間に来てもらって再度聴き比べたのは昨日(2日)の午後のことだった。
テスト盤はジャズの方がクラシックよりも音質の差が出やすいので、「枯葉」にした。
アルトサックス、トランペット、ピアノ、ベース、シンバルなど多彩な楽器のそれぞれの響き具合を確かめれば真空管の音の差は一目瞭然だろう。おっと、「一聴瞭然」かもね(笑)。
オーディオ仲間の感想によると「WE300Bはとてもリッチな音です。響きが豊かでもう言うことないです。その点SV300Bはネクタイを締めた実直なサラリーマンみたいでちょっとかしこまった感じですかね。
しかし、大いに素性の良さを感じますのでエージングが進むともっと良くなることでしょう。
後で聴かせていただいたゲリー・カーのコントラバスは素晴らしい音色でしたし、しかもオルガンがまるでスーパーウーファーを使ったみたいに深々とした低音を響かせるのには驚きました。」
「同感です。」と、自分。
「SV300B」の実力に「お値段」以上の手ごたえを感じた次第で、どうやら購入して正解だったようだ(笑)。
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