「音楽&オーディオ」の小部屋

クラシック・オーディオ歴40年以上・・身の回りの出来事を織り交ぜて書き記したブログです。

躍動する「71系」真空管

2018年06月19日 | オーディオ談義

そもそもの始まりは「PX25シングル」アンプだった。

   

左側2本の前段管は「SX-112」(トリタンフィラメント:1930年前後)という球だが、これを運よく専門家から3本手に入れたので既存の前段管が不要になってしまった。

たとえば「LS7」(GEC)、「3A/107B」(STC)、「3A/109B」、「3A/110B」といったイギリス勢の面々。

遊ばせておくのも勿体ないので、何とか有効活用はできないものかと「無い知恵」を振り絞った結果、思いついたのが手持ちの「71系シングルアンプ」への転用だった。

    

この姉妹のような2台の「71系」アンプはいずれもオークションで落札したものだが、例によって2台とも改造を施してインターステージトランスを挿入したが、左側のアンプの改造がどうも中途半端に終わってしまった。

前段管に「6SN7」を使ってあるが、この球には以前から疑惑の眼を向けている。日頃から古典管の薫陶を受けている身にとっては、丈夫さはわかるものの肝心の音質となると「?」(笑)。

そこで、前述した「LS7」と入れ替えられるといいんだがなあ~。

「6SN7」は傍熱管であり、「LS7」は直熱管なので、電源部の改造が必要のようだ。もちろんソケットの形状も違うが、素人にはそんなことくらいしか思いつかない(笑)。

どうも簡単には行きそうもないがアンプの製造歴が軽く40年をオーバーするKさん(大分市)に相談を持ち掛けてみると「ああ、工夫すればできないことはないですよ。今ちょっと立て込んでますので1か月後ぐらいには何とか完成できると思います。」

そしてアンプを預けて首を長くして待つこと1か月余り、Kさんから「ご在宅ですか。ようやく出来上がりましたので今から持参します。」と朗報が入った。

つい先日の「6A3」真空管に続いて我が家の真空管アンプ群はこのところ「シュトルム・ウント・ドラング」(疾風怒濤)の状態だ(笑)。

    

これが改造してもらったアンプで、左から前段管の「LS7」(GEC)、出力管「071」(ARCTURAS:フィラメント電流0.5V仕様)、整流管「80S」(STC)という、まことに豪華な布陣である。持ち主が言うのもちょっと何だが、球の値段の方がアンプ本体よりも高価とはこれいかに(笑)。

さっそくKさんを交えて「AXIOM80」で試聴したが、「LS7」の増幅率「μ」(ミュー)は12前後、「6SN7」の「μ」は18前後なので効率はやや落ちるが、プリアンプの目盛りをちょっと上げればいい程度だったし、音質の差はもう「月とスッポン」で透明感が段違い!

この「071シングル」の出来栄えに大いに喜びつつ「いやあ、おかげさまでありがとうございました。」と、凄腕のKさんに感謝感激。

1時間ほどでKさんが辞去されたので「AXIOM80」をぶっ続けで5時間ほど鳴らし込んでみたが、何とも言えない色気が醸し出されるし、聴き疲れがしないしで超ハッピー(笑)。

さっそくシステムの編成を再構築した。

 「AXIOM80」には「071シングル」

 「ワーフェデール2ウェイ」には「PX25シングル」

 「LE8T」には「171Aプッシュプル」

 JBL「D130」+ワーフェデール「スーパー3」

  「D130」(~2500ヘルツ)には「6A3シングル」

  「ス-パー3」(2500ヘルツ~)には「171シングル」

これが今のところ適材適所による我が家のベストの布陣だろう。「6A3シングル」は万能選手なのでどんな守備位置でもこなせるが、「D130」(口径38センチ:イン・ウェストミンスター)が相手となると不足はない。唯一の大型システムが緻密な音像に見事に変身(笑)。

それにしても我が家における「71系真空管」の躍動ぶりには驚く。現役として出力管8本、前段管2本合わせて10本(すべてナス管)も使っているのだから、これほど恩恵を被っている例も珍しかろう。

インターステージ・トランスや出力トランスの選り好みも無く、「球の選択に困ったときは71系を使え」という名言があるが、万事に控えめで朴訥そのものの飽きがこない音質にまったく「71系さまさま」である。




 


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