北海道新聞 2025年7月5日 21:43
アイヌ語の「道が・そこから・浜へ出ていく所」が語源とされる根室管内羅臼町のルサ川。アイヌ民族はこの「風の通り道」を行き交ってきた。海霧の中、夕日に包まれて飛び交う虫にも命の鼓動を感じた=6月26日
世界自然遺産・知床はヒグマの気配を感じる原始の森から流氷が押し寄せる豊かな海まで、ほかでは体感できない大自然を楽しめる。北見報道部に着任した2023年3月以来、知床の大自然を撮影しつつ「自然の一部」として生きた人々にも思いをはせてきた。
大自然が魅力の知床半島にも約8千年前から人が住み始め、6世紀以降にはサハリンから南下した海洋狩猟民オホーツク人が知床半島に定住。そしてアイヌ民族も知床で生き、アイヌ語はウトロ(斜里町)、ルサ(根室管内羅臼町)など地名の由来にもなっている。
オホーツク人は一面の流氷の上を歩いたのだろうか。人々の道となっていたルサ川での暮らしは―。ファインダーをのぞきながら、想像を巡らせることもあった。
世界自然遺産は環境の保全はもちろん、人が自然の恵みを生かすことも求められている。知床の歴史は自然と共生した人類の歴史でもある。知床の自然や、人々の足跡を写真で紹介する。
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