朝日新聞 2018年12月28日03時00分
北海道の釧路湿原を守るため、市民から資金を集めて、湿原を「自然保護地」として購入する「ナショナルトラスト運動」を続けてきた市民団体・トラストサルン釧路(黒澤信道理事長)が今月、1988年の発足から満30年を迎えた。今年も新たな保護地が加わるなど活動はいまも活発で、これまでに設定した保護地は28カ所に及ぶ。
発足の契機は87年、湿原が全国28番目の国立公園に指定されたこと。当時、バブル景気とリゾート開発ブームを背景に、湿原周辺で土地の切り売りや水源林の皆伐が進んでいた。湿原保全に取り組む市民は、国立公園の規制では開発が止まらないことに気づき、自分たちの手で湿原を守るために、ナショナルトラスト運動を始めた。
アイヌ語で湿原を意味する「サルン」を冠した市民団体は88年12月9日に発足した。初代運営委員長には北海道教育大学釧路分校教授だった鈴木順雄さんが就いた。
「当時は、開発は地域の利益に…
残り:896文字/全文:1281文字
https://www.asahi.com/articles/ASLD361TZLD3IIPE01T.html
北海道の釧路湿原を守るため、市民から資金を集めて、湿原を「自然保護地」として購入する「ナショナルトラスト運動」を続けてきた市民団体・トラストサルン釧路(黒澤信道理事長)が今月、1988年の発足から満30年を迎えた。今年も新たな保護地が加わるなど活動はいまも活発で、これまでに設定した保護地は28カ所に及ぶ。
発足の契機は87年、湿原が全国28番目の国立公園に指定されたこと。当時、バブル景気とリゾート開発ブームを背景に、湿原周辺で土地の切り売りや水源林の皆伐が進んでいた。湿原保全に取り組む市民は、国立公園の規制では開発が止まらないことに気づき、自分たちの手で湿原を守るために、ナショナルトラスト運動を始めた。
アイヌ語で湿原を意味する「サルン」を冠した市民団体は88年12月9日に発足した。初代運営委員長には北海道教育大学釧路分校教授だった鈴木順雄さんが就いた。
「当時は、開発は地域の利益に…
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