労働新聞社 2025/05/01 05:00
【書方箋 この本、効キマス】第110回 『松浦武四郎 入門:幕末の探検家』 山本 命 著/吉田 修(労働新聞社)
蝦夷を記録した“兼業者”
松浦武四郎は、16歳で故郷伊勢を離れ、日本を隈なく歩き、唐・天竺まで渡ろうと志を立てた。その後、ロシアの脅威を知るに至り、蝦夷島に渡り、原野に分け入り、樺太にまで足跡を残し、その克明な記録を世に紹介した。北海道の名付け親としても知られている。著者の山本命氏は、三重県松阪市にある松浦武四郎記念館の館長である。
武四郎は現代風に言うと、国家公務員でありながら、プロアドベンチャーレーサー&蝦夷地フィールドワーカー、ノンフィクションライター、漫画家&イラストレーター、骨董コレクター、江戸・明治期のYouTuber等々を兼業するノマドワーカーであった。究極のマルチ・ジョブ・ホルダーなのだ。筆者憧れの人物でもある。
彼の主要な業績を挙げてみよう。・・・・・