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北海道新聞2024年1月27日 19:43
報告会で発言するラポロアイヌネイションの差間啓全会長代行(左から2人目)。左は加藤博文教授
【帯広】十勝管内浦幌町のアイヌ民族団体「ラポロアイヌネイション」(旧浦幌アイヌ協会)は27日、昨年浦幌で開いた国際シンポジウム「先住権としての川でサケを獲(と)る権利」の報告会を帯広市で開いた。シンポ開催の成果として、先住権が不当に侵害されぬよう各国の先住民族が連携して闘うとする「2023ラポロ宣言」をとりまとめたことなどを説明した。
同団体による先住権確認訴訟(札幌地裁で審理中)で原告弁護団長を務める市川守弘弁護士は、台湾やカナダなどの先住民族が参加した昨年のシンポを通じ、「法制度の有無にかかわらず先住権を求める闘いが世界で続いていることが分かった」と話した。
昨年11月にまとめたラポロ宣言については北大アイヌ・先住民研究センター長の加藤博文教授が解説し、「先住民族自身が国際シンポを一過性のものとせず、今後も連携する強い意志を示したこと」と意義を述べた。2回目の国際シンポが5月、オーストラリアで予定されているという。
同団体会長代行の差間啓全(ひろまさ)さん(57)は「先住権を前面に押し出して活動しているアイヌ民族は私たちだけだと思う。多くの方々の賛同がほしい」と語った。
同団体は2月18日午後2時から、北海道クリスチャンセンター(札幌)でも報告会を開く。(椎名宏智)