北海道新聞 2025年5月24日 21:24(5月24日 22:00更新)
第8回井上靖記念文化賞(実行委主催)の贈呈式が24日、旭川市内のホテルで行われ、同賞を受賞した言語学者中川裕さん(69)=千葉市=と、特別賞に選ばれた翻訳家斎藤真理子さん(65)=東京都杉並区=に賞状と記念品が贈られた。
中川さんはアイヌ語やアイヌ文化の研究に長年従事。漫画「ゴールデンカムイ」の監修などを通じて、「生きた文化」として広めたことが評価された。
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この日は2人の記念講演も行われた。要旨を紹介する。
■漫画のセリフ、監修に尽力 アイヌ語研究者・中川裕さん
言語学者としての研究と比べると、ゴールデンカムイのアイヌ語の監修は脇の仕事ではないかと思われることがありますが、そうではありません。
大学院生の時に研究のため日高管内へ行き、葛野辰次郎さんというエカシ(長老)から話を聞いた際、「死保存か活保存か」と言われました。
学者が言葉を採録して、例えば本にまとめたとしても、生きた人間に使われなければ「言語として死んだ」と同じだと。どうしたら活保存ができるか、アイヌ語の同人誌を作るなど模索しました。
ゴールデンカムイはその延長にあります。生き生きとした力強いキャラクターが、多くの人を引きつけてくれました。
アイヌ民族のさまざまな表現活動をぜひ見てください。それではイヤイライケレ(ありがとう)!
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