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2023年11月24日 22:04(11月24日 22:38更新)
【木古内、上ノ国】木古内町佐女川神社の伝統神事「寒中みそぎ」が道の無形民俗文化財(風俗慣習)に、上ノ国町にある室町時代の山城「勝山館跡」から出土した400~450年前の陶磁器など88点が有形文化財(考古資料)に、それぞれ28日付で指定されることが決まり、関係者は喜びをかみしめた。地域活性化への期待も高まっている。
「寒中みそぎはこれまでに193回行われ、歴史や伝統を守り続けてきた。指定は歴代の行修者(ぎょうしゅうしゃ)や支えてくれた人たちのおかげ。みんなで喜びを分かち合いたい」。同神社の野村広章宮司は、笑顔を見せた。
豊漁と豊作を祈願する寒中みそぎは、1831年(天保2年)に始まった。現在は同神社などで1月13~15日に行われている。行修者と呼ばれる4人の若者が、昼夜を問わずに冷水を浴びる鍛錬「水ごり」を繰り返す。最終日は、ご神体を抱いて海の中に入る。
順調に回を重ねれば、2030年に200回目の節目を迎える。伝統行事として受け継がれてきたことに加え、初日や最終日を中心に函館や札幌などから大勢の観光客が訪れるなど、木古内の冬の観光の目玉としても知られる。
行修者の任期は4年。来年が3回目の大役となる斉藤亘さん=木古内町職員=は「毎回、町内外から応援が届き、励みになっている。指定を機に寒中みそぎがもっと有名になってほしい」と力を込めた。
上ノ国町の出土品88点は、いずれも町内の国指定重要文化財「旧笹浪家住宅」の保存修理工事に伴う1999年の調査で見つかった。アイヌ民族が儀式で使う捧酒(ほうしゅ)べら「イクパスイ」、子供用の弓に加え、和人の生活用品と見られる美濃焼、志野焼などの陶器などが含まれ、陶磁器から江戸初期のものと判明している。
勝山館の周辺では和人とアイヌ民族が共生したことが分かっていたが、その後も17世紀初頭まで共生関係が続いていたことや、アイヌ民族が独自の文化や習俗をこの地で継承していたことが、これらの出土品から裏付けられたという。上ノ国町教委の塚田直哉学芸員は「指定を機に、上ノ国の地で長期間続いたアイヌ民族と和人の共生の歴史をさらにPRしたい」と話す。
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(金勝広、米林千晴)