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<美幌 メープルシロップ物語>下 夢あふれる希望の樹液

2022-03-27 | アイヌ民族関連
北海道新聞03/26 09:17

執筆した論文の要旨が掲載された雑誌を手にシロップへの思いを語る平野茂夫さん(岩崎勝撮影)
 「マチの新たな名物にしたい」。オホーツク管内美幌町の菓子店「山本菓子舗」のパティシエール伊藤枝里さん(35)は、美幌産メープルシロップを使って商品開発を進めている。
 1964年創業の老舗。美幌産小豆のようかんなど地元素材にこだわる。昨年12月、美幌町樹液研究会代表の平野茂夫さん(84)からシロップを受け取り、新商品の創作に乗り出した。
■町内で活用も
 研究会など関係者が課題と捉えるシロップを町内に浸透させる方策として、平野さんは町内の菓子店に協力を求めることを選択。この数年、各店にシロップを配り、商品作りを依頼している。
 伊藤さんはシロップを使ってマドレーヌを試作。焼き菓子はある程度日持ちし、土産にもなるからだ。クリスマスケーキ作りの合間などに試作し、市販のシロップより香りが少ない美幌産の特徴も把握した。「味は満足できたが、食感に納得がいかない。もう少しふわっとさせたい」。伊藤さんは「平野さんの思いを形にしたい」と、今夏の発売を目指して試作を重ねる。
 4月21日に改装オープンする観光名所・美幌峠の美幌峠レストハウスでは、新規テナントの飲食店がシロップを使ったメニューを提供する予定だ。アイヌ民族の伝統料理を提供する札幌の「海空のハル」が、シロップを入れたジェラート、芋餅などの販売を検討する。町内でシロップ活用の動きが広がってきた。
■「母乳」出る木
 シロップの浸透に腐心する一方、平野さんは栄養面に興味を抱いた。原料の樹液を採取するイタヤカエデはアイヌ語で「トペニ(母乳の出る木)」と呼ばれるため、根拠を探った。
 日本食品分析センター(東京)に樹液を送り、成分分析を依頼。樹液に含まれるカリウムやカルシウムなどのミネラル類の栄養成分比が母乳に似ていることが分かった。
 約2年かけて研究し、まとめた論文の要旨は2020年9月、NPO法人「日本栄養改善学会」発行の「栄養学雑誌」に掲載。平野さんは「アイヌ民族は、樹液に母乳と同じような栄養があることを知っていたのではないでしょうか。感激しました」と話す。
 この研究成果を得て、平野さんの夢は広がる。栄養価を生かし、企業などと共同で樹液からサプリメントや化粧品などを開発することだ。平野さんは言う。「あと15年、100歳まで妻と頑張りますよ」
 研究会の今春の製造目標は2千本。3月中旬、製造拠点の平野さん宅のハウスでは、ぐつぐつと樹液を煮込む音がした。出来上がったシロップが店頭に並ぶ日は近い。
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/661443
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