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【プレビュー】「森美術館開館20周年記念展 私たちのエコロジー:地球という惑星を生きるために」

2023-07-25 | 先住民族関連
環境危機と現代アートの関わりを通じて、地球の未来を考える 森美術館で10月18日開幕
美術展ナビ2023.07.24

エミリヤ・シュカルヌリーテ 《沈んだ都市》 2021年 ビデオ・インスタレーション 9分33秒
森美術館開館20周年記念展
「私たちのエコロジー:地球という惑星を生きるために」
会場:森美術館(六本木ヒルズ森タワー53階)
会期:2023年10月18日(水)- 2024年3月31日(日)
※会期中無休
開館時間:10:00-22:00
(火曜日のみ17:00まで。ただし1月2日、3月19日は22:00まで)
※入館は閉館時間の30分前まで
入館料:【平日】一般2000円、学生1400円、子供800円、シニア1700円(当日窓口)【土・日・休日】一般2200円、学生1500円、子供900円、シニア1900円(当日窓口)など
主催:森美術館
企画:マーティン・ゲルマン(森美術館アジャンクト・キュレーター)、椿玲子(森美術館キュレーター)
※第2章ゲスト・キュレーター
バート・ウィンザー=タマキ(カリフォルニア大学アーバイン校美術史学教授、美術史家)
同美術館公式サイト(https://www.mori.art.museum/jp/)
全地球的に喫緊の課題である環境危機に対して、現代アートやアーティストがどのように関わり、また関わり得るのかを考える場として開催される展覧会です。これまでも時事的な問題について積極的にコミットしてきた森美術館の開館20周年に相応しい内容でしょう。
本展では国際的なアーティストによる歴史的な作品から、本展のための新作まで多様な表現を4つの章で紹介します。
第1章 全ては繋がっている
本展が定義する「エコロジー」は環境だけに留まりません。この地球上の生物、非生物を含む森羅万象は、何らかの循環の一部であり、その循環を通してこの地球に存在する全てのモノ、コトは繋がっています。最初の章では、そのような循環や繋がりのプロセスを様々な形で表現する現代アーティストたちの作品を紹介します。
ニナ・カネル 《マッスルメモリー(7トン)》 2022年 海洋性軟体動物の殻を利用した造園材料 サイズ可変 展示風景:「Tectonic Tender」ベルリーニッシェ・ギャラリー(ベルリン) 撮影:Nick Ash ※参考図版
第2章 土に還る 1950年代から1980年代の日本におけるアートとエコロジー
日本は戦後の高度経済成長期において、自然災害や工業汚染、放射能汚染などに起因する深刻な環境問題に見舞われました。本章では、日本の社会や現代美術史をエコロジーの観点から読み解くべく、1950年代以降の日本人アーティストの作品や活動に注目します。彼らが環境問題に対してどのように向きあってきたかを、50年代、60年代、70年代、80年代と時系列に考察しながら、各時代の代表的な表現方法の変遷をたどります。
鯉江良二 《土に還る(1)》 1971 年 陶 32×50×50 cm 所蔵:常滑市(愛知) 撮影:怡土鉄夫
第3章 大いなる加速
人類は、地球上のあらゆる資源を利用して文明を発展させ、工業化、近代化、グローバル化を押し進めてきました。しかしながら産業革命以降、加速度的に発展した科学技術や産業社会は、近年、「人新世」という新たな地質学上の区分を巡る議論が象徴するように、短い期間で地球環境を変化させました。本章では、こうした人類にとって喫緊の課題を批判的な視点で分析しつつ、現状を取り巻く文化的、歴史的背景を題材とする作品を通じて、より広い観点から地球資源と人間の関係を再考します。
モニラ・アルカディリ 《恨み言》(イメージ図) 2023年
第4章 未来は私たちの中にある
環境危機は私たち自身の「選択」が招いた結果です。現状を打破するには、私たち自身の在り方を改めることが必要でしょう。未来にはどんな選択肢が残されているのでしょうか。本章では、非西洋的な世界観を讃える作品、モダニズムの進歩と終わりのない成長原理への疑問、アクティビズム、先住民やフェミニズムの視点、精神性(スピリチュアリティ)、デジタル・イノベーションがもたらす可能性とリスクなど、私たちが頼みとすべき、さまざまな叡智を顧みながら、地球の未来を再考します。
西條 茜 《果樹園》 2022年 陶 130×82×82 cm 展示風景:「Phantom Body」アートコートギャラリー(大阪)2022 年 撮影:来田 猛
環境に配慮、日常を再利用した展示
本展には世界16か国ほど、約35人のアーティストが出展します。エコロジーの観点から、作品というモノの輸送を減らし、作家本人が来日し、新作を制作してもらうことを計画しています。また、身近な環境にあるものを素材として再利用した作品も多く出展されます。森美術館を一つの環境と捉えて、半径1キロメートル四方に生えている植物を調査・採取して押し花にするジェフ・ゲイスの作品や、六本木から銀座への道すがら発見したものを組み込んだケイト・ニュービーのインスタレーションなどが注目です。
運営面でも前の展覧会の展示壁、および壁パネルを部分的に利用し、塗装仕上げを省くなど環境に配慮した展示デザインとなっています。また世界初の100%リサイクル可能な石膏ボードを採用するほか、再生素材を活用した建材の使用、資材の再利用による廃棄物の削減など、省資源を進めます。こうした展示の舞台裏も注目を集めるでしょう。
(美術展ナビ編集班 岡部匡志)
https://artexhibition.jp/topics/news/20230724-AEJ1491028/
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