先住民族関連ニュース

先住民族関連のニュース

アイヌの知恵や文化学ぶ 北大でエコツアー、豊かな自然や遺跡も

2022-10-10 | アイヌ民族関連
毎日新聞 2022/10/9 15:30(最終更新 10/9 15:30) 967文字

右手のイラクサを示して参加者に説明する楢木貴美子さん(右)=札幌市北区の北海道大で2022年10月1日、安味伸一撮影
 樺太アイヌの楢木貴美子さん(74)=札幌市=の案内で、北海道大キャンパス(同市北区)に自生する多様な植物などを観察する「エコツアー」が今月1日に行われた。市民ら22人が参加。草木をその特性に応じて衣食住や薬に活用してきたアイヌの知恵と、北大とアイヌとの関わりを学んだ。【安味伸一】
 ツアーの一行は、北大近くにある開拓使が造った都市公園跡「偕楽園緑地」などを見学後、北大構内を流れるサクシュコトニ川へ。豊平川の伏流水が水源だったが、都市化で枯れ、2004年に藻岩浄水場の放流水で再生した。楢木さんは「かつてサケが大量に遡上していた。アイヌ語でサクシュは『浜(豊平川)に近い』、コトニは『窪地』という意味。アイヌは水場の近くに家を建て、構内にはアイヌの集落があった」と解説した。
 一行は、川のそばでひと際目立つ大木のキハダの下で足を止めた。楢木さんは「アイヌにとって薬用では最も重要な木。樹皮をはいで煎じて万能薬に使い、実は料理に使ったりした」と説明。その後、順路脇のイワミツバやオオウバユリなど食用になるさまざまな草を示し、「アイヌは自然のものを使う分だけ食べていた」と参加者に語りかけた。
 衣服に使った植物もある。イラクサはつぶして繊維を取り、着物を作ったという。岩見沢市の地名の茂世丑(もせうし)や妹背牛町の「モセ」はイラクサを意味するアイヌ語で、「ウシ」はアイヌ語で「群生する所」を意味する。楢木さんは「イラクサが多い場所だった」と説明した。文字のないアイヌ語に漢字を当てた地名が道内に多いことが改めて分かる。
 北大構内は東京ドーム38個分と広い。北部の自然林には、約30カ所の竪穴住居跡を含む「遺跡保存庭園」がある。庭園は草が茂っていたが、数カ所のくぼみを確認できた。アイヌの人たちは「祖先が住んでいた」と考え、供養の儀式を毎年行っているという。
 北大エコツアーは札幌市アイヌ文化交流センターが主催し、6時間かけて約2万歩のコースを巡った。6月に東京から札幌に引っ越してきた主婦の若林美智子さん(58)は「大学の中にこんなに豊かな自然があり、遺跡もあるのはすごい。アイヌの人々が身近な自然のものを暮らしに取り入れていたことを知り、風もさわやかで楽しかった」と話した。
 同センターは来年も春と秋に北大でエコツアーを計画している。
https://mainichi.jp/articles/20221009/k00/00m/040/016000c
この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 真っ赤な紅葉も見どころ!秋... | トップ | アイヌ民族の弦楽器「トンコ... »
最新の画像もっと見る

アイヌ民族関連」カテゴリの最新記事