北海道新聞02/27 18:59 更新

大平正芳記念賞を受賞した石原さんの著書「<沈黙>の自伝的民族誌」
北大アイヌ・先住民研究センターの石原真衣准教授の著書「<沈黙>の自伝的民族誌」(北海道大学出版会)が、環太平洋をテーマにした優れた研究に贈られる第38回大平正芳記念賞を受賞した。自身の経験を踏まえ、アイヌ民族の出自について沈黙する人を取り巻く社会状況をまとめた。アイヌ民族関連の研究が選ばれるのは初めてという。
著書は、アイヌ民族の血を引く石原さん自身が「アイヌでも和人でもない」と感じる痛みの根源を探り、2018年に完成させた論文がベースとなった。日高管内平取町出身のアイヌ民族の曽祖母から、札幌で生まれ育った自身に至る4代の人生模様を書き上げた。文化人類学者として多様な視点から分析を加え、痛みや沈黙に対する理解を呼び掛けている。
賞を主催する大平正芳記念財団(東京)によると、今回は6人の研究が受賞し、石原さんの著書が「日本社会の構造を問題視した刺激的な内容」などとして最も高い評価を得たという。石原さんは「著書が多様な当事者をつなぐ役割になりつつあり、とてもうれしい。この賞を痛みと沈黙を抱えるすべての人びとにささげたい」と話している。(村田亮)
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/650515


大平正芳記念賞を受賞した石原さんの著書「<沈黙>の自伝的民族誌」
北大アイヌ・先住民研究センターの石原真衣准教授の著書「<沈黙>の自伝的民族誌」(北海道大学出版会)が、環太平洋をテーマにした優れた研究に贈られる第38回大平正芳記念賞を受賞した。自身の経験を踏まえ、アイヌ民族の出自について沈黙する人を取り巻く社会状況をまとめた。アイヌ民族関連の研究が選ばれるのは初めてという。
著書は、アイヌ民族の血を引く石原さん自身が「アイヌでも和人でもない」と感じる痛みの根源を探り、2018年に完成させた論文がベースとなった。日高管内平取町出身のアイヌ民族の曽祖母から、札幌で生まれ育った自身に至る4代の人生模様を書き上げた。文化人類学者として多様な視点から分析を加え、痛みや沈黙に対する理解を呼び掛けている。
賞を主催する大平正芳記念財団(東京)によると、今回は6人の研究が受賞し、石原さんの著書が「日本社会の構造を問題視した刺激的な内容」などとして最も高い評価を得たという。石原さんは「著書が多様な当事者をつなぐ役割になりつつあり、とてもうれしい。この賞を痛みと沈黙を抱えるすべての人びとにささげたい」と話している。(村田亮)
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/650515