先住民族関連ニュース

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長編小説「地のはてから」を刊行 乃南アサさん 明日を信じ 今を生きる

2011-01-18 | アイヌ民族関連
(2011年1月17日 読売新聞)

撮影・菅野靖 世界遺産の北海道・知床。その名は、「地の果て」という意味のアイヌ語「シリエトク」を語源とする。
 乃南アサさんの新刊『地のはてから』(講談社、上下巻)は、知床に大正初期、開拓民の子供として入った女性の激動の半生を描く長編小説だ。極寒の地での電気も水道もない暮らし、奉公先でのつらい日々、周囲を覆い始める戦争の影……。時代の波にのまれながら、ただただ懸命に生きた主人公の姿は、今を生きる私たちの心を静かに、しかし奥底から震わせる。(村田雅幸)
 「日本最後の秘境」「手つかずの大自然」。そう形容される知床を初めて訪ねた1998年、ひどく驚いたことがあった。熊を見つけようと、車からクマザサの茂る原野を眺めていた時のこと。熊でも岩でもない塊が目に入った。聞けば、入植者が残した廃屋という。「こんな所まで開拓に入っていたなんて」。以来、縁あって何度も知床に足を運ぶうち、入植した女性たちの人生をつづった本を知人から贈られ、さらに衝撃を受ける。
 「バッタの大群が飛んで来て、畑のすべてを食い尽くした、と書かれていたんです。それは、ものすごい恐怖だったはず。でも私たちは、まだ100年もたっていないのに、何も知らない」。そこから、この物語が生まれた。
 主人公のとわは、3歳になる直前、株で失敗した父と母、兄の4人で福島から逃げるようにして「地のはて」にやってきた。生活は困難を極め、原生林を切り開いて畑を作り、やっと作物が収穫できそうだと思えば、バッタに襲われる。頼みの綱の父は事故死し、やがて小樽に奉公に出ることになったとわに、母がオホーツク海を眺めながら語る言葉が切ない。
 〈おがちゃの一生なんて――あの岩のようなもんだなぁ(略)どうだけ大っけぁ波かぶったって、たぁだただ、歯ぁ食い縛って、黙ぁってじぃっとしてなっかなんねぁ〉
 それからの、とわの人生も苦難の道となる。食べていくために身を粉にして働き、たった一度の恋もかなわない。結婚生活はうまくいかず、戦争や火事できょうだい、そして子も失う。苛烈な人生だ。が、乃南さんは言う。「今の人の目には、そう映るでしょう。でも、彼女はそんなことは思わず、一日一日を生きていた」
 とわは思う。どうあがいても人生はやり直せない。いくら泣き叫んでも、世の中は自分一人の力では変えられない。だから、〈とにかく明日も朝を迎えよう。明日になったら、また次の日〉と。
 そんな、とわの思いは、彼女の孫を主人公にした物語として一昨年に出した『ニサッタ、ニサッタ』(講談社)にも共通する。「ニサッタ」とはアイヌ語で「明日」の意。勤めていた会社が倒産、ネットカフェ難民になった孫に、とわは語る。〈明日ってのは必ず来るもんだから。生きてるうちはな〉。そうして孫の心に、小さな希望の灯をともす。
 乃南さんはこの2作を書く際、「現代の閉塞感、特に若い人たちが感じている息苦しさを見て、なにか少し息がつけるようなものにはできないか」と考えていたという。もちろん、100年前と現代では状況が違う。けれど、どの時代であれ、人が生きていくには、何らかの困難が付きまとう。
 「誰もが好んでこの時代に生まれたわけではないし、気に入らないからといって違う時代に行くこともできない。嘆く気持ちはみんなにあるけれど、大事なのは、今はこういう時代なんだと見据え、あきらめないこと」
 現代人が今すぐ、とわのようにたくましく生きられるはずもない。でも、この物語を読み進めるうち、こうは感じないだろうか。とわのようなつらい環境であっても、人は生きていけるのだと。
 「いざとなったらなんとかなる。人間には、生きる力が本能として備わっていると思えば、少し楽になるでしょう。そんなことを感じてもらえれば、ありがたいです」

のなみ・あさ=1960年、東京都生まれ。『凍える牙』で直木賞。近著に『自白 刑事・土門功太朗』『すれ違う背中を』『禁猟区』など。
http://www.yomiuri.co.jp/book/news/20110117-OYT8T00698.htm?from=yolsp

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アイヌ民族が新年の祈り 苫小牧支部80人

2011-01-18 | アイヌ民族関連
(苫小牧民報 2011年 1/17)

 北海道アイヌ協会苫小牧支部(沢田一憲支部長)のアシリパカムイノミと先祖供養のイチャルパが17日、苫小牧市市生活館で行われた。新年を迎えるアイヌ民族の伝統的な行事。支部メンバーら80人が集まり、平安な一年を祈った。
 民族衣装の男性会員がいろりを囲んで祈りをささげ、女性たちは供物をささげるイチャルパを屋外で行った。
 神事の後は、新年交流会。伝統料理のイナキビご飯やサケのオハウ(汁もの)などが振る舞われた。苫小牧アイヌ文化保存会と鵡川アイヌ文化伝承保存会による古式舞踊も披露された。
http://www.tomamin.co.jp/2011t/t11011701.html

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星にまつわる昔話、14か国・地域から73話

2011-01-18 | アイヌ民族関連
(2011年1月17日15時09分 読売新聞)

 星や月にまつわる昔話73話を14か国・地域から集めた「アジアの星物語」(英語版)が、国立天文台などの国際チームによって完成した。
 日本ではうさぎが餅つきをしているとされる月の伝説は、ベトナムでは神様がうさぎの善行をたたえて月にその姿を投影させたと伝えられている。中国ではかぐや姫に似た嫦娥(じょうが)の伝説が知られている。
 日本からは、七夕やアイヌに伝わる北斗七星の話など8話が紹介されている。日本語に翻訳する計画で、現在、出版社を探している。
http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20110117-OYT1T00129.htm

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