西村一朗の地域居住談義

住居・住環境の工夫や課題そして興味あることの談義

進化論について(学習続き)

2011-10-02 | 生活描写と読書・観劇等の文化
昨日の続き:

ダウイーンが、聖書にある「6日間ですべての生き物を神が創造した。人間を最後に神に似せて創造し、人間に全てを支配させよう」とした生物、種の創造説に疑問を抱いたのは、1831年から5年間の「地球一周」のピーグル号航海で観察し、資料収集し、考察した結果である。(南米、ガラパゴス等でのマネシツグミの変異に注目)これを創造説に対して自然選択説という。

また、当時、イギリスでは奴隷は既に禁止されていたが、ピーグル号で訪れた南米ではアフリカからの奴隷を目撃して、大いに憤慨したことが日記にあるようだ。この「反奴隷」の思いも進化論(ダウイーンはmodificationと言ったが、これをevolution(進化)としたのは「社会進化説」のハーバード・スペンサーである)を唱える根底にあったのでは、と言ったのは科学史家のジェームス・ムーアさんである。

日本では、猿などが身近にいたし、仏教の影響で他の生物との垣根がキリスト教のように高くはなかったことがベースにあるが、1877年に「お抱え外国人教師」のエドワード・モースが東京帝大で講義した(申す のだった)のだが、モース自身、「日本人が(東京帝大生ではあるが)進化論をこんなによく理解する」とは思わなかったとアメリカに帰国して言ったらしい。

そのアメリカでは、現在、進化論を認めない人たちが福音派キリスト教徒など40パーセントほどいるようだ。認めない人が一番多いのは、サウジアラビアの75パーセント、イギリスやドイツは12パーセント、日本は10パーセント位という。

ダウイーンの本国イギリスでは、ダウイーンはウエストミンスター寺院に葬られている。

最近、進化論も「進化」(深化か)しているというか「進化計算」という分野もでき、変異や突然変異も織り込んで、自然過程では何百万年もかかるのを数か月で「計算」し、結果が出るようだ。新幹線のN700系の設計も「進化計算」によっているようだ。

番組では、スタジオゲストの、大澤真幸さん(社会学者)、佐倉 統さん(科学史家)、中野京子さん(西洋文化史家)が話し合っていたが、見方が微妙に違い、これも面白かった。

大澤さんのいう進化論に基づく「偶然性の倫理」という考え方もユニークかな。「・・・我々がある資質(や障害等)を持って生れ出るのは偶然であって、それらをしっかり受け止めて平等に生きれるようにするのが、偶然性の倫理ではないか」という。


過去、進化論は、優生学では間違った「解釈」に陥ったし、ヒットラーも「悪用」したが、歴史の教訓として、そういうことはあってはならないことである。

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