『図書』11月号で早稲田大学の毛利和子さんが「21世紀COEの苦しかった5年間」と言っている。毛利さんを代表に2002年に「現代アジア学の創生」で5年間のCOEを獲得した経験を述べている。結論として、「COE方式での資金の重点配分は沈潜した大学・研究のカンフル剤的機能をもつ。だが二回、三回とカンフル剤を打てば立派な体格ができるだろうか。そうではなかろう。日本の学問とその担い手を真に「グローバル」にする気なら、「新しい学」の振興をはかりたいなら、少なくとも30年先を見通し、体格造り、体力増強のための制度設計を落ち着いて行う必要がある。辛い仕事だが、研究者自身がそのプロセスに積極的に関わらなければならない。」としている。長期的見通しを堅持することが大切だろう。COEを募集している文部科学省の方針転換が望まれる。
小さい雑誌では岩波の『図書』と学士会の『学士会会報』が来ると結構熱心に見、読む。先だって来た『図書』に元京大総長の長尾 眞さん(現・国会図書館長)の小文が載っており興味を引いた。長尾さんは京大工学部の情報工学分野の教授から、京大総長になった人だ。『図書』によると、「15歳の頃に自分を無にすることの大切さを自覚」「質素に生きる」「お金を貯めるくらいならそれを使って知識や経験を蓄積」「文章を書くにも今も鉛筆で手書き」「微々たることですが夏はなるべく冷房せず、勤め先でも二十八度以下に冷やさないように気をつける」「出来るだけタクシーに乗らない」「もちろん車は持っていません」「公共交通機関を利用する」「時間があれば歩いてゆく」というように環境保全、地球温暖化防止からは模範的ライフスタイルだ。個々人でこういうライフスタイルを追求していきたいものだ。私も「鉛筆で手書き」以外は、やっている。皆さんはどうですか。