東京の土人形 今戸焼? 今戸人形? いまどき人形 つれづれ

昔あった東京の人形を東京の土で、、、、

国立劇場12月「梅の由兵衛」

2017-12-20 10:25:41 | 日々

 このところずーっと忙しくしていたので、自分にご褒美に歌舞伎に行ってきました。吉右衛門一座による「梅の由兵衛」と雀右衛門丈による「今様三番三」。「梅の由兵衛」は先代吉右衛門の当たり役だったとか名前は有名な狂言なのですが、めったに上演されないもので、自分のリアルの記憶でも自分が中3か高1の頃、つまり昭和50年代前半に国立劇場小劇場で故・9代目沢村宗十郎さん主演で上演があった以来ではないかと思います。小劇場は座席数が少ない分一番安い席でも中学生にとっては高額で、観ることができなかった思い出があります。それが今回吉右衛門丈中心に演じられるというのは興味深々でした。はじめて観る狂言ですが、江戸狂言といっても黙阿弥や南北の作とは異なりのんびりおおどかな雰囲気、それでいて流れや人情の機微に無理がなく、「生世話」ではなく「時代世話」、配役も適材適所でバランスのとれたうれしい内容でした。今回の上演は初代・吉右衛門当時の台本をもとに、改めて補綴された部分があるらしいのですが、ドケチで筋書きは買わなかったのでどこが挿入されたのかも知らず観ていたのですが、付け焼刃的な感じの場面というものは感じられませんでした。「宗十郎頭巾」姿の吉右衛門丈、姿の立派さは言うに及ばず、セリフの綾、人情あふれる侠客ですばらしく、敵役の歌六丈は立派すぎず安すぎずというたたずまいと演技がさすが。錦之助丈の金五郎、この手役はさすがこの役者さんの任にぴたりと嵌り、こういう系統の役では追随を許さない味ですね。「髪結新三」の忠七役、「法界坊」の手代役などもに期待したいです。菊之助丈のふた役もきれいでいてそれらしくいいですね。歌舞伎の演出に「見立て」というものがあり、先行作のさわりのパロディーとして「無限の鐘」(梅ヶ枝の手水鉢)を前髪の菊之助丈に演じさせるというのも楽しかったと思います。雀右衛門丈の「今様三番三」、先代も演していたした大時代な所作事ですが、先代のある意味タフさ、マッチョさを思い出されました。当然当代も先代譲りのタフさと可憐さと併せ持ってグラマラスな感じがしました。

 芝居へ行くときは大抵デパ地下でお弁当を買って持参します。「日本橋 弁松」の「蛸めし」の弁当が好きで多かったのですが、最近は「亀戸 升本」の「あさりめし」の弁当にハマっています。

 ここのお弁当はおかずが「これでもか」とばかりにたくさんあって食べでがあります。「亀戸大根のたまり漬け」と「亀辛麹」というつけダレがついています。「亀辛麹」のカップの下には別に「煎りなます」が隠れているんですよ。これは偶然ですが、今回の「梅の由兵衛」は隅田川東岸の本所、柳島辺りが舞台で、セリフの中にも「亀戸とか出ていたので図らずも、芝居で「眼福」お弁当で「口福」と揃って地域が重なっていたというのも愉快でした。

 珍しい芝居で見事なアンサンブル。流石吉右衛門一座です。現代の歌舞伎の最高峰でしょう。


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1 コメント

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自分にご褒美 (ウリ坊)
2017-12-31 19:49:11
いつも一生懸命、作品を作製されているのですから、たまには自分にご褒美が必要ですよね。
歌舞伎だと、また、作品にも良い影響が出そうな気がします。
ウリ坊もいまどきさんを見習って、自分にご褒美・・・を考えます。
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