東京の土人形 今戸焼? 今戸人形? いまどき人形 つれづれ

昔あった東京の人形を東京の土で、、、、

国立劇場 12月歌舞伎公演

2018-12-21 03:24:56 | 日々

 半年ぶりの芝居見物。半年ぶりの吉右衛門丈です。9月の歌舞伎座の秀山祭では吉右衛門丈の二役が出ていたのですが、9月は生憎催事や出展が重なり、観に行くことができずにいました。今月の吉右衛門丈は「石川五右衛門」を演じられ、「葛籠背負ったがおかしいか」のセリフで有名な「葛籠抜けの宙乗り」を演じられています。

 「宙乗り」は「早変わり」「本水」などと並んで「ケレン」といって肝心な芝居に加えて観客を楽しませるサービスオプション的な演出で、ただケレンばかりを売り物にして芝居が疎かになったり、ただきれいなだけで腕のない役者さんがケレン芝居を演じても趣向倒れ(当然ひいきのお客さんは手を叩いて大喜びしますが)な結果に終わるということが少なくありません。その点、吉右衛門丈のたっぷりとした芝居と愛嬌の上に宙乗りを演じられることはこれ以上のご馳走はない、という感じでした。それと今回は「楼門五三桐」の南禅寺山門の場のパロディーとして「木屋町二階の場」という場がついておもしろかったです。他の場も長い間演じられていなかった古い場面で芝居の流れが奇抜な感じがしましたが、この一座の芝居上手なアンサンブルでそれらしく見せているというのは観客のひとりとして安心して観ていられるという感じです。

 NHKの筋肉番組の決まりセリフではありませんが「吉右衛門は裏切らない」としみじみ実感しました。その昔、故・三代目実川延若さんが「窯茹での五右衛門」の場まで演じていたのは読みかじりで知っていますが、今回はその前の縄にかかるところまで。石川五右衛門といえば、「楼門」の五右衛門とか「葛籠抜け」の五右衛門のように「国崩し」的な立派で手強いイメージ像だと思うのですが、今回出た「五右衛門隠れ家の場」で夫婦親子の情で涙にむせぶ、という性格もあるのがまた芝居で面白かったですね。(道具幕前で大薩摩の出語りがあって、幕を振り落とす演出も「楼門」のパロディーになっています。)吉右衛門丈の一座での芝居は本当に損をしない。腹ごたえのある内容で満足です。幕間の休憩には池袋西武での地下で買ってきた「亀戸 升本」のお弁当を食べました。おかずたくさんで食べでがあってこれも満足でした。