東京の土人形 今戸焼? 今戸人形? いまどき人形 つれづれ

昔あった東京の人形を東京の土で、、、、

「たけす」の笛

2018-07-03 02:51:21 | 仕事場(今戸焼 土人形 浅草 隅田川)

 鳩笛作りのついでに「たけす」(竹に雀)の笛の型も起こしています。都内の近世遺跡から鳩笛などに混ざって「ひょっとこ笛」とともに「たけすの笛」の出土も少なくないので、前からやってみたいと思っていました。この笛の形は基本的に「福良雀」ですが、くちばしが竹の幹につながっています。遺跡から出土例によって配色が異なっていることがありますが、この形の笛は施釉仕上げになっています。あるいは、同じ型の今戸人形であっても素焼きに胡粉地、その上に顔料、染料煮だしによる彩色のタイプと施釉のタイプと両方確認できるケースのものも存在するので、まだ確認していないだけの顔料仕上げの「たけすの笛」も存在するのかどうか、、。

 「竹に雀」というと伊達家の家紋として知られていますが、他にもいろんな「たけす」のデザインのバリエーションがあるようです。歌舞伎の「伽羅先代萩」の「御殿」の場の政岡の飯焚きのところで我が子の千松に若君を退屈させないように歌わせる歌「こちの裏のちさの木にちさの木に、雀が三疋(ひき)止まって止まって、一羽の雀が云ふことにや云うことにや、、、、」があります。あと若君に生米を播かせると雀が飛んできたり、伊達の家紋に因んだ趣向なんだろうなと思います。

 今戸の人形の全貌が見えませんが、「福良雀」のデザインの人形といったら真っ先に思い出されるのが、この「たけすの笛」。他に竹のついていない「ガラガラ」か「浮き人形」みたいなもの、それと「泥めん」で背中に「福」の字の印刻のあるのは観たことがあります。総じて大きなのは観たことがありません。同じ浅草の練り人形にも福良雀があります。

 福良雀はもともと縁起のよい吉祥の形ですが「竹に雀」だとどんな意味合いがあるのか検索したら「取り合わせのよいことのたとえ」とありました。


鳩笛の窯出し

2018-07-03 00:07:53 | 仕事場(今戸焼 土人形 浅草 隅田川)

 昨日日中に下絵つけと施釉をして乾燥させ、手作りの「トチ」に刺すようにして窯入れしました。同時に施釉の「カエルの浮き人形」の以前型を作ったものがあるので鳩笛と同じように下絵と施釉をして市販の「トチ」に乗せて焼成に入りました。途中炉内500℃に達するまでは窯の蓋を半開きにし、途中から蓋して密閉して稼働が止まったのが明け方。あとは炉内が100℃以下に冷めるまで開けてはいけないので何度の炉内表示を気にしながらやっと100℃を下回って蓋を開けたのが一時間前くらいでしょうか。

 ミトンの手袋をして取り出して並べてみました。30年弱前の七宝炉による焼き上がりよりは格段によくなってはいます。赤点よりは上かと思いますが、まだ思う感じ十分ではないですね。ただ2枚目の画像のかごに並んでいる群像は、江戸の近世遺跡から出土する施釉の「舐め人形」っぽくは見えると思います。透明釉の掛かり具合が薄かったのか、それとも日頃の素焼きのと同じ条件で焼いたのでピークの温度がもう少し高いとよかったのか?土の色、透明釉がかかった素焼きよりは濃く見える発色はいいですね。照りもやや出ていますがもっと光沢が出るともっと「舐め人形」らしくなります。白地の白の下絵具の上に透明緑の釉薬を置いてその上から透明釉をかけてあるのですが出土品にはこんな感じに淡い緑のも観たことありますが、もっと盛るようにしたほうがよかったか?右側手前の鳩の頭は緑がしっかり発色しています。これは彩色のときちょっと厚すぎかと思っていた部分です。

 まだまだ舐め人形の練習はやるので、次は今回の反省をもとにもっといい感じになるといいです。でも昔の七宝炉の時に比べればよくなっていると思いました。