鳩笛作りのついでに「たけす」(竹に雀)の笛の型も起こしています。都内の近世遺跡から鳩笛などに混ざって「ひょっとこ笛」とともに「たけすの笛」の出土も少なくないので、前からやってみたいと思っていました。この笛の形は基本的に「福良雀」ですが、くちばしが竹の幹につながっています。遺跡から出土例によって配色が異なっていることがありますが、この形の笛は施釉仕上げになっています。あるいは、同じ型の今戸人形であっても素焼きに胡粉地、その上に顔料、染料煮だしによる彩色のタイプと施釉のタイプと両方確認できるケースのものも存在するので、まだ確認していないだけの顔料仕上げの「たけすの笛」も存在するのかどうか、、。
「竹に雀」というと伊達家の家紋として知られていますが、他にもいろんな「たけす」のデザインのバリエーションがあるようです。歌舞伎の「伽羅先代萩」の「御殿」の場の政岡の飯焚きのところで我が子の千松に若君を退屈させないように歌わせる歌「こちの裏のちさの木にちさの木に、雀が三疋(ひき)止まって止まって、一羽の雀が云ふことにや云うことにや、、、、」があります。あと若君に生米を播かせると雀が飛んできたり、伊達の家紋に因んだ趣向なんだろうなと思います。
今戸の人形の全貌が見えませんが、「福良雀」のデザインの人形といったら真っ先に思い出されるのが、この「たけすの笛」。他に竹のついていない「ガラガラ」か「浮き人形」みたいなもの、それと「泥めん」で背中に「福」の字の印刻のあるのは観たことがあります。総じて大きなのは観たことがありません。同じ浅草の練り人形にも福良雀があります。
福良雀はもともと縁起のよい吉祥の形ですが「竹に雀」だとどんな意味合いがあるのか検索したら「取り合わせのよいことのたとえ」とありました。