東京の土人形 今戸焼? 今戸人形? いまどき人形 つれづれ

昔あった東京の人形を東京の土で、、、、

干支の酉(鶏)づくり⑤ (火の用心鶏)

2016-11-20 23:11:04 | 仕事場(今戸焼 土人形 浅草 隅田川)

 これは創作的な型になりますが、江戸の迷信とか民間信仰とかを背景に盛って作ってみました。その名も「火の用心鶏」。

昨年の暮れ、王子の「狐の行列」のおみやげ向けに起こした「火の用心狐」と同じく、古典の人形である「火の用心」(与市兵衛)の人形をもとに創作しました。独善的な主張になってしまいますが、鶏の江戸の市井のイメージを人形化してみたいと思ったからです。「火の用心狐」の場合は王子の「狐の行列」という行事があり、それに合わせて、提灯を持った姿ということで古典の「火の用心」(与市兵衛)の姿を引用したのですが、今回の鶏の場合は、民間信仰では鶏はとさかの形が「炎」を連想させる形状であるということから「火伏せ」にご利益があるといわれる「荒神様」のご眷属であるというイメージがあります。年の市などで神棚の道具などと一緒に鬻がれている昔ながらの小絵馬の図柄としても鶏は荒神様の使わしめとして描かれていることは少なくありません。鶏の絵馬は主に台所の竈の上や鍛冶屋さん、鋳掛屋さん、銅壺屋さん、錺職人さんなど火を使う職人さんの仕事場にも神棚を作って火の用心、家内安全を願ってお祀りされていました。

荒神様のご眷属⇒火の用心という発想で、古典の火の用心の人形を鶏に置き換えてみたわけです。

 この「火の用心」の人形のモデリングにていては2枚の割型を作るためには割目が複雑なラインなので型つくりそのものは少し面倒です。また鶏の顔は正面向きだと何だかわかりにくく、横から眺めてこそ、鶏だと認識しやすい姿です。また型づくりにかんしても鶏の姿は横向きに平行に割目をつけることが多いので、「火の用心」の割型とは割目の方向が直角になってしまって難しいので、今回は体の部分と鶏の頭とを別々の型で抜いて、最終的に頭を体に接合するやり方をしています。

これは偶然ですが、「火の用心」のオリジナルの体のラインがちょうど鶏の動きにも通じるような気がします。左ひじを高く「くの字」に突き上げている姿は鶏の翼にも通じるフォルムに思えますし、腰を曲げて前かがみな感じも鶏が餌をさがしている姿につうじるような感じにも見えると思います。

 以上火伏のための庶民の願いの対象が「荒神様」で、鶏は「荒神様」のご眷属のようにイメージされてきたところを人形の古典と合体させてみた、というつもりです。

焼いて、彩色してどうなるか?やってみないと人形としておもしろいかどうかはわかりませんが、まずはやってみているところです。

 しっかり色をつけてみないとわかりませんが、早く色をつけてみたいです。