東京の土人形 今戸焼? 今戸人形? いまどき人形 つれづれ

昔あった東京の人形を東京の土で、、、、

招き狐 2011

2011-12-26 02:10:07 | 仕事場(今戸焼 土人形 浅草 隅田川)

P1010092今日は12月25日。王子の「狐の行列」は大晦日なので遅くとも前日の30日までにお納めに行かなければなりません。

「招き狐」のほうは下地塗りと面描き、耳や尻尾への下地の黄色を置くところまでは進んではいるので、次に黄色の上からスカーレット染料の赤を置いて干せば完成です。それを乾燥させてから包めばすぐにでも納めに行けます。

前にも記したかもしれませんが、この狐、はじめて納めたときは赤部分を朱色で塗っていたのですが2回目から黄色の上にスカーレット染料を置いたほうが発色の深味も出てまた下地の黄色もちらりと覗くほうが黄色と赤との対比も出て美しいと思ったのです。江戸時代、まだ植物の煮出しを使っていた頃、赤くする部分は蘇芳の煮出しを塗るわけですが、そのまま塗ると紫がかった発色になってしまうのですが、下にキハダの煮出しを塗って黄色くした上に蘇芳を塗るとちょうど赤みがかって発色できたわけです。合成のスカーレット染料もそのまま塗ると紫がかってしまうので、ピンクやオレンジの染料を混ぜて青みを抑えることは染色などでもされる工夫ではないでしょうか?、下地に黄色を塗っておけば更に発色もよくなり、滲みも防げるのです。           P1010093

画像の一番奥の手前の狐の顔がちょっと違ってみえませんでしょうか?実はこれまでのこの型の招き狐の口の入れ方は従来の今戸の鉄砲狐と区別するため意図的に違えて描いていました。もとは鉄砲狐は鼻孔と口を分けて描いていた作例もあったのですが、省略して大きめのポチを入れるようになっています。

招き狐の口は鉄砲狐と区別させようと、口は下方に一筆で入れるようにしてきたのですが、今回数個だけ試しに鉄砲狐風に大きく入れてみたのですがどうでしょうか?