おはようございます。 生き生き箕面通信1630(130530)をお届けします。
・映画「セデック・バレ(真の人)」――台湾はなぜ親日的なのか
「セデック・バレ」は、4時間36分におよぶ台湾映画史上最大の歴史大作です。日本が台湾を植民地化していく過程で起こった、台湾人による大規模な日本人虐殺事件「霧社事件」を真正面から取り上げた力作です。
映画の前半では、日本人が台湾奥地の資源開発のため、地元の山岳民族(総称して高砂族)を劣悪な条件で徴用、差別する姿が描かれます。小さないざこざをきっかけとした原住民の武装蜂起は1930年(昭和5年)10月27日に起こりました。
きっかけは小さないざこざですが、根っこには地元民の森と虹を畏敬する「信仰」と、日本人が進める「文明・文化」との衝突があります。
映画は前、後編の2回に分けて上映されるのですが、今回の前篇だけしか観ていない段階では、なぜ「台湾が親日的になったのか」が分かりません。おそらく報編を観ても、分からないかもしれない。
しかし、台湾の人々が、東電のフクシマ原発事故を含む東北大災害に対し、災害・事故発生翌月の4月には100億円におよぶ義援金を送ってくれたのは、れっきと事実です。台湾の人口や経済規模からみると、驚くべき巨額の義援金でした。
そして、台湾には、日本語を違和感もなくしゃべる人が今も大勢おり、日本文化が好きな若者が多数いる。それだけでなく、植民地時代に日本が作ったものを今も大事に使っており、感謝さえしていると伝えられます。そのなかには、植民地統治の象徴だった「総督府」が、現在は「総統府」として政治の中心になっているという例もあります。
韓国の日本嫌いと比べると、同じ植民地でしたが雲泥の差があります。どうやら最も大きな要因は、その後の政府の教育にあるようです。韓国は徹底した反日・嫌日教育を行ってきたのに対し、台湾では教科書に日本が作ったダムや農地開発、電気の普及などが記載され、教えられているそうです。
また、中国本土から台湾に逃げてきた蒋介石をトップとする外省人(中国人)が、地元の本省人(台湾人)をひどく痛めつけ、中国人に比べると日本人の方が良かったという思いが強まったこともあるようです。蒋介石とその系統の政権は、台湾人を抑えつけるため、台湾人を3万人虐殺した1947年の「2.28事件」を機に戒厳令を発令し、戒厳令はその後1987年まで40年にもわたって継続しました。
教育は、その国の根幹を形成します。戦前・戦中の日本は、天皇を崇める皇国史観にもとづく、権力側の統治の道具として行われ、戦争へ突っ込む土壌を造りました。当時、私たち庶民はすべて、「天皇の赤子」でした。学校では例外なく「君が代」が斉唱され、「君が代」、つまり君(天皇)の時代が「苔の蒸すまで」と歌わされました。
いままた、自民党の文教族が虎視たんたんと、「教育勅語」の復活を狙っています。
映画は前篇の「太陽旗」が明日31日まで、後編の「虹の橋」は翌6月1日から7日まで、十三の第七藝術劇場で上映されます。
後編がどのような展開を描き、それが台湾の人々にどんな影響をもたらしたのか、ぜひ知りたいところです。