生き生き箕面通信

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1618 ・「ポツダム宣言」が焦点に――中国との領有権の火の手はさらに広がるか

2013-05-28 07:29:35 | 日記

おはようございます。                                                            生き生き箕面通信1618(130528)をお届けします。

・「ポツダム宣言」が焦点に――中国との領有権の火の手はさらに広がるか

 中国が、尖閣諸島の領有権主張の根拠として、「ポツダム宣言」を本格的に持ち出す戦略を明確にしてきました。ドイツを訪問中の李克強・中国首相がポツダム市を訪れ、尖閣および沖縄を念頭に、「ポツダム宣言の意義を強調したい」と演説したのです。

 第2次世界大戦後の世界の秩序は、事実上、1945年7月に米英ソ首脳が合意した「ポツダム宣言」の枠組みで動いてきました。このなかでは、「日本国が清国人より盗取したる一切の地域を中国に返還する」と定めたカイロ宣言の継承が定められています。

 これをもとに中国側は、「尖閣はもちろん沖縄も、もともと中国に領有権がある」と主張し始めました。

 石原慎太郎・東京都知事(当時)がおっぱじめた領有権問題は、戦後秩序に挑戦する「歴史問題」へと発展し、日中間の抜き差しならぬ外交問題となりつつあります。

 となると、好むと好まぬとにかかわらず私たち庶民も近現代史の「歴史認識」を改めて理解し直す必要に迫られているといえます。

 実は中国は、習近平・副主席(当時)が昨年9月に訪米し、パネッタ国防長官と会談した時も、ポツダム宣言とカイロ宣言に触れ、「日本は中国の主権と領土保全を損害するすべての言動をやめるべきだ」と、強く主張していました。

 すでにこの頃から中国は、「ポツダム宣言」の順守を根拠に領土問題にアプローチする戦略を決定していたものと思われます。習近平氏が正式に主席に選定される前から、領有権問題に取り組む戦略を実行に移していたわけです。

 そして、今回の李首相演説。それもわざわざポツダムの地へおもむいての発言だけに、狙いすました強いメッセージを感じないわけにいきません。これは何も中国の主張に加担すべきといっているのではありません。中国の発言をきちんと受け止めて正面から対応すべきだと思うのです。

 ところが日本政府は、困った時に見られる、例によっての「無視」する態度のように見えます。菅・官房長官は昨日5月27日午前の記者会見で、「(李発言は)歴史を無視した発言だ。決して受け入れられない」と述べたものの、抗議などはせず、できるだけ知らぬ顔で通り過ごしてしまいたい態度です。

 日本政府は、「サンフランシスコ講和条約によって戦後の日本の領土は決定しており、尖閣に日本の領有権があるのは歴史的事実」と、門前払いする姿勢です。

 しかし、サンフランシスコ条約は全面講和ではありませんでした。当時、ソ連や中国とは講和が成立していませんでした。平和条約を締結していないソ連とは、現在でも戦争継続中という関係が清算されていないことになっています。だから、サンフランシスコ条約を持ち出されても、中国側にしてみればあずかり知らぬことになってしまいます。

 この領土問題に、正解はあるのでしょうか。どちらかに属することでの決着はあり得ない。資源が目的なら、両国による共同開発が可能なはずですが、ここに着地点を求められるかどうか。それが無理なら、結局、もう一度「寝てもらう」以外にないのではないでしょうか。石原というポン吉がカッコつけて起こした子は、当面、もう一度寝かしつけるよりないようです。

 そしてその間に、私たちももっと「歴史認識」を深めましょう。