カルテ番号 ら・1(2)
良知和尚は風間陽水の顔をしばらく見つめ、笑顔になった。
その笑顔は、実にすっきりとした、いい笑顔だった。
「少し長い話になりますが、聞いていただけますか?
実は拙僧の寺は、小さいが大変古いものです。
開祖は空海、弘法大師様です。
空海僧正を開祖とする寺は幾つもあります。
本当かどうかは、誰もわかりません。
でも、青龍寺という名前と直筆の伝書が残っています」
青龍寺は空海が唐中期に恵果阿闍梨から灌頂を受けた寺の名前だ。
灌頂とは、密教の継承を許す儀式だ。
唐に渡ってから、2年しないで、何千人もいる弟子達を追い越した。
何十年も修行している僧達からしたら、信じられないだろう。
空海がいかに特殊な人物であったかの一つのエピソードだ。
空海は常人とあまりにかけ離れた出来事を、日常茶飯のように行っていた。
未だに学者などからは、作り話だ、伝説だ、と信用されない事が多い。
「空海僧正の書いたものは、幾つか残されています。
例えば拙僧が見てきたのは、奈良国立博物館に残された書です。
空海僧正の書は非常に特徴があり、あの味は真似できないものです。
形だけ真似ても意味がないほど、圧倒的に違います。
だから、寺に残された書は、空海僧正のものだと信じています。
問題は、その内容なのです。
代々の住職だけに伝えられてきた書でした」
(登場する人物・組織・その他はフィックションです)
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