水上陽平の独善雑記

水上陽平流の表現でいろいろな事を書いています。本館は http://iiki.desu.jp/ 「氣の空間」

「風間陽水の依頼簿(カルテ)・1099」

2016-11-17 19:16:45 | Weblog



カルテ番号 ら・1(1)

「ごめんください」
その男性が治療院を訪ねたのは、夕方だった。
「はい。なんでしょうか?」
今日の予約は無かったはずだ。
「どうしてもお話を聞いていただきたくて来ました」
その切羽詰まった様子に、風間陽水は玄関を上がるように言った。
「突然の訪問を失礼します」
50代後半か60代と思われる、その男性は礼儀正しく深く頭を下げた。

テーブルを挟んで、椅子に座ると名刺を出した。
そこには、名前と電話番号だけが印刷されていた。
良知(らち) 泰山
陽水は名刺を見ながら言った。
「良知さんというと、確か静岡にある苗字だと思いましたが」
「そうです。らちという呼び方も静岡です。
申し遅れました。らち、たいざん、と申します。
静岡で、小さなお寺で務めさせていただいています」

綺麗に光っている頭部は、よく見ると脇に剃った跡がある。
仕事柄、毎日綺麗に剃髪しているのだろう。
「それで、ご用件は?」
どうやら、通常の心身の依頼ではなさそうだった。
着衣も僧衣ではなく、ネクタイはしていないが背広だった。
良知は少し黙ってから話し出した。
「実は、先生の事を知ったのは今日でした。
お名前を聞いた途端に、急にどうしてもお会いしたくなりました」

(登場する人物・組織・その他はフィックションです)
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