水上陽平の独善雑記

水上陽平流の表現でいろいろな事を書いています。本館は http://iiki.desu.jp/ 「氣の空間」

「風間陽水の依頼簿(カルテ)・286」

2014-07-31 19:35:53 | Weblog



カルテ番号 な・10(7)

翌日、約束時間に現れた院長は思ったよりも若かった。
どうすればいいかと訊いたら、楽な姿勢で横になれればいいという。
同じ姿勢が疲れたら、動いてもいいという。
話はしながら出来るので、何でも質問してかまわないという。
何だか話しやすい感じなので、千代はリラックスして横になった。
そして、今までのいきさつを話した。

「そうですか。急な出来事でしたね。
自分ではそれほどでないと思っていても、やはり負担だったと思いますよ。
心は意識する、しないにかかわらず嘘をつけます。
行いも、表情も作ることができます。
でも、肉体と氣は嘘がつけません。
いえ、詳しくいえば、短い期間は誤魔化せますが、やがて現れてしまいます。
不調はやはり負担だったせいだと思いますし、変な病ではありませんよ」

千代は負担とも思っていなかったが、ひとまず安心した。
「私は子供もできなかったのに、夫には申し訳ない気持ちはあります。
そして今後暮らしていける財産を残してくれたことには感謝しています。
でも先生、私は夫が亡くなっても悲しいとか淋しいとか思えないのです。
私は薄情な人間なのでしょうか?」


(登場する人物・組織・その他はフィックションです)


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