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1/4(よんぶんのいち)の奇跡

2016-03-27 10:24:18 | 

 今まで何度となく読みましたが、いつも新しいことに気付かせてくれる本です。

  アフリカのマラリアに罹りにくい人を遺伝子レベルで研究したら、その兄弟には4分の1の確率で、重い障がいを持つ人も現れてしまう。4人の子どもが生まれた場合、必ずそのうち1人は重度の障がいを持つという事実。つまり、人間が生存して行くにはマラリアに「強者の遺伝子」だけでなく、重い障がいを引き受ける 「弱者の遺伝子」も必要だったということ。このことから、障がいを持つ人の存在がなければ、今の自分もないという理解が生まれます。

  しかし、科学的な1/4の奇跡だけでなく、宇宙をつらぬく「本当のこと」こそを3/4の人間は知らなければなりません。それは、

 ・南米・インカの人たちは、病気や障がいのある人が、とても大切な存在だということを知っていた。

 ・昔の人は、まわりにある「もの」も「こと」も「ひと」も、すべてその人に必要だから、そこに「ある」ということを知っていました。

などです。科学的に立証しなければ納得できないのではなく、本当のことを知っていれば、そこに区別や差別は存在せず、そこにあること自体が大きな意味を持つ。このことを納得できるか否かが、人の成長にとってはトリガーになると思います。そして、宇宙をつらぬく「本当のこと」は健常者ではなく、障がい者が原初的に持っているものであり、我々は彼らから謙虚に学ぶべきなのですね。そういう意味では山元加津子先生は通訳者なんでしょうね。

『1/4(よんぶんのいち)の奇跡 「強者」を救う「弱者」の話』(山元加津子・柳澤桂子・四方哲也・新原豊共著 マキノ出版、本体価格952円)

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