世界はグローバル化、そして、アメリカ中心の思考、つまりは単一的なものさしで計られてきました。しかし、その反動はコロナウィルスの世界的な、しかも瞬時の広がりかもしれません。
しかし、コロナウィルス感染拡大のため、結果的になった人的な鎖国。また、地球環境問題からも、エネルギー多消費では地球を維持出来かねないため、地産地消、物的にも鎖国が良いと提唱している鈴木孝夫先生。また、「現代口語演劇理論」を生み、演劇の観点から欧米が優れ、日本が劣っていることは決してないと談じる平田オリザ。この二人による対談は、これからの日本のベクトルを示唆してくれます。
地球的規模の課題の解決には、勝敗を決する二元論ではなく、すべてが協調的で生かされる反二元論が必要です。そこで活きるのが日本文化であり、日本の思考法、つまり、アニミズムの精神です。また、日本語を使うと、外国人は優しくなる傾向があり、それを「タタミゼ効果」と言い、そのためにも日本語を広め、国連の公用語にすることが大切と説かれています。そのためにも、日本の良さの発信力が問われます。
また、日本憲法論は、第二次世界大戦後の戦争放棄から、日本なら出来る、地球を救う、「地救原理主義」に立脚して改憲すれば、世界から尊敬されるはずとはとても挑戦的でありながらも、頼もしい。
『下山の時代を生きる』(鈴木孝夫・平田オリザ著、平凡社新書、本体価格740円)