2014-07-12 にこのブログに書いた『日本語が世界を平和にするこれだけの理由』が今般、文庫化されましたので、再度書き込みましょう!
カナダ・モントリオールで25年間、カナダ人に日本語を教えてきた金谷先生が日本語の特徴、そして、英仏語との差異を明確に示した書です。
日本語で「好きです」という気持ちを表す言葉には、主語も目的語もなくとも、意味が通じます。これは「好きだ」という「状況」を伝える言語である日本語の特徴を表しています。もちろん、主語は「私」であり、目的語は「あなた」ですが、二つともその状況の中に溶け込んでいます。
これが英語になると、「I love you」となり、文法は「S+V+O」で、主語と目的語は必ず必要となります。日本語と同じように、「love」とだけ言おうものなら、「誰が?誰を?」と訊かれることは必定です。つまり、「主語(私)と目的語(あなた)を切り離して対立する」、「自己主張」の言語こそが英語です。
この観点から日本語を考察すると、「私」と「あなた」を同じ場所に立たせ、「好きです」という感情をお互いに抱かせ、同じ方向を見る、「共視」や「共感」を作り出す言語です。金谷先生の教え子で一度来日し、日本語を日常的に話す日本人に接してカナダに帰国すると、誰もが「心が変わる」、「静かに話をする」、「攻撃的な性格が姿を消す」ということを知っておられます。だからこそ、書名の通り、
「日本語は世界を平和にする」
という信念を持って、正しい日本語を使える日本人になりたいと思いました。この本は多くの日本人、そして、日本語を学ぶ人類に読んでもらいたい!
『日本語が世界を平和にするこれだけの理由』(金谷武洋著、飛鳥新社、本体価格602円)