犬派か猫派と言えば、犬派なのですが、今回は著者が5匹の猫を書斎で飼ってらっしゃるので、猫ストーリーに涙腺を攻撃されました。
主人公の五郎は心休まらない人生を送る、30歳手前の男性。埼玉の小さな町のパチンコ屋に住込み勤務をしています。パチンコ店の常連客の弓子が店の一角に、捨てられたペットと里親を結ぶ『里親探しノート』を置くことからストーリーは始まります。この二人に、なんでも屋に勤務する、20歳前半の宏夢(ひろむ)、「町内一の金持ち」の不動産屋社長・門倉が絡む、猫が必ず登場する四話はとても考えさせられます。
「どうして生まれてきたのか」「何のために生きているのか」
を求めるために、過去に問題を抱えたこの4人は自分の生を全うしようと懸命に生きています。
「この世に生まれたことも奇跡。今日を生きていることも奇跡。」
そして、 「今を精一杯生きることで、僕らは奇跡をおこすことができるんだ。」
で締めくくられるストーリーに涙しないはずはありません。誰しもどこかで誰かのお蔭で生きている。それに感謝する思いに奇跡が起こるのでしょうね。さすがは「奇跡体験!アンビリバボー」の放送作家だけありますね。
『悲しみの底で猫が教えてくれた大切なこと』(瀧森 古都著、SBクリエイティブ、本体価格1,200円)