アバウトなつぶやき

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長沢芦雪展

2017年10月14日 | かんしょう
水曜日のこと、シロウタと一緒に愛知県美術館で開催中の長沢芦雪展に行ってきました。




 長沢芦雪は「伊藤若冲や曽我蕭白と並んで『奇想』の画家と称されて」いるというのが一般的な認識なんだそうですね。
 うちにはずっと以前に動物好きの友人が某展覧会の土産としてくれた長澤蘆雪/曾道恰(合作)《花鳥蟲獣図巻》のクリアファイルや絵ハガキがあります。犬たちの愛くるしい様子が特徴的な絵のため、長い間私は芦雪に「可愛い動物を描く人」というイメージを持っていました。
 そのためリーフレットの《虎図襖》を見た時も「あらまぁ、なんて猫っぽい虎だろう。可愛らしいこと」と思っており、『奇想』という評価がピンときませんでした。
 今回、いろんな作品を観ることで芦雪の概要が掴めると期待して行き、その期待は外れることがなかったと言えると思います。

 円山応挙の弟子ということで二人が同じテーマを描いた作品の比較がいくつもあったので、技術を習得していった流れとその後どのように個性が発揮されていったかがよくわかります。犬の描き方が似ていることは感じていましたが、芦雪の描く犬はふざけた格好をしていてとても面白い。犬に限らず、描き方が似ていてもその構図や動きが違うことで強い個性を感じることができます。
そういう点で、長沢芦雪は『奇想』という評価を受けたのですね。
 とにかく、彼の描く絵は構図が大胆!です。
特に大きなもの-屏風や襖絵などを描く際に画面からはみ出すサイズで対象物を描いているのには圧巻です。
《白象黒牛図屏風》の象ははみ出すどころではなく一部しか入らない大きさで描いているのがさすがなのですが、それと対の牛はそれに負けないほどのサイズなのもさることながら、添え書きしてある犬がやたらちんまりとしているうえに腰砕けの格好をしていてユーモアたっぷりです。

 この展覧会の目玉はおそらく南紀・無量寺のふすま絵空間の再現で、ふすま絵を絵画としてただ並べて見るのではなく実際の配置と同じにすることによって、臨場感であるとか調和の妙であるとかを感じることができるようになっています。
 前述の《虎図襖》ですが見るものに迫ってくるような描き方で、実際に目の前で見るとかなりの迫力です。
 顔つきが猫っぽくて可愛らしいのは第一印象の通りではありますが、それを凌駕する迫力があるのでちゃんと訴える力があり虎としての役割が成立しています。
 また、裏面に描かれた猫の絵を見えるように展示することでストーリー(魚から猫を見ると虎のように見えたであろう)がちゃんと成立しており、この虎が猫っぽいことに意味があることになっているのがとても機転が利いていて感心します。
 円山応挙が虎を見たことがなく、猫をモデルに虎を描いたため応挙の虎はちょっと猫っぽいのですが(もっともこの時代に日本人で虎を見たことがある人は非常に稀)、同様に芦雪も虎を見たことはなかったのでしょう。それを隠さずに表現しているところは潔くて好感が持てます。

 私がこの展覧会で一番気に入ったのは《朝顔に蛙図襖》です。
本来動かない植物と少ない描写で動きのある空間を作り出していることにスタイリッシュな粋を感じて感服しました。


展示の終わりのコーナーに【画業の深化:寛政後期】として非常に繊細に描かれた絵やちょっと不気味な雰囲気の絵が紹介されていました。その中の《大原女図》はその表情や描き方が印象的で、長く生きてくれたらもっと違う表現の名作が生まれたのではないかと考えさせられました。
芦雪は46歳で亡くなっており、その死は謎に包まれているそうですがその辺りはあまりクローズアップされていませんでした。生き方に焦点を当てなくても、その画業だけで「奇才」ぶりを表現できる画家だったということなんでしょうね。

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おまけ

 この展覧会の帰りにささしまライブに寄ってFLOWERS by NAKEDに行ってきました。
 名駅付近、ホント頑張ってますね~♪ 新しい街ができているのを見るのは楽しいです!
 丸栄が閉店し、芦雪の展覧会のあとは一年半も愛知県美術館は改装のため閉業だしでしばらく栄は元気がなくなっちゃいそうな気がします。
 私は近鉄利用者なので名駅が元気なほうが嬉しいですが、名駅は広い公園がないのでショッピング利用のみになりがちなんですよね。笹島が文化ゾーン目指してるんならついでに美術館や図書館とか作ってくれたら良いのになぁ。

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