アバウトなつぶやき

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「伊勢のみち/桑名のみち」展

2006年11月18日 | かんしょう
 久しぶりにシロウタとお出かけの今日、桑名市博物館の「伊勢のみち/桑名のみち」展に行って来ました。
 桑名市博物館には、以前うちの職場で働いていた女の子、Kちゃんがいるのでちょっと解説してもらえたりしてなかなか優遇です♪

 今回の展示は東海道を中心にした文化財が展示されています。
 東海道の紹介がメインのため、見取絵図や延絵図、名所図、海路図など地図っぽいものが多く展示されています。
 昔の東海道の様子が窺える、わかりやすい作品が多いと感じました。
 中に「菱川師宣」の字を見つけ、「げ、こんな仕事もやってたんだ。そうだよなぁ、好きなもん描いてるだけじゃ食ってけなかったんだろうなぁ」と想像してみたりしました(笑)。※菱川師宣は「見返り美人」を描いた浮世絵画家です。
 江戸幕府の作らせた延絵図は道中の様子が半間位の幅の紙に蒔絵調で描かれています。縮尺はどれも1800分の1。半端な数字ですが、1間=1800mmと思えばなんだかとても数学的。
 つい大きな縮尺で扱いにくかろうに…と思ってしまいますが、なにしろ作った時代が足で計った頃でしょうからねぇ。それくらいでないと書き損ねてしまうのかもしれません。しかし、よくまぁこんなきれいな状態で残ってるもんだ。

 と、絵よりも余計な事が気になったワタクシなのですが、展示の絵の中に宇治橋を描かれたものをいくつか見かけました。
 三重県人にとっては宇治橋というとすぐに伊勢神宮の入り口を想像できる場所です。
 その「宇治橋」が描かれているものには、どれも橋の下で網のようなものを持って橋を見上げている人たちが描かれていました。
 描かれているのが大人だけならば何か神事的な事柄かと思ったのですが、無邪気な子ども達がいる上に俗っぽい姿で描かれています。不思議に思ってKちゃんを呼び、「コレって何やってるところなの?」と訊ねると、「これは物乞いみたいなものなんですよ。」と教えてくれました。

 この宇治橋は俗世と神世を分かつ象徴の橋でもあったために、橋から川に向かって「銭を投げる事で俗を落として」渡る習慣があったようです。 
 この時代、伊勢神宮に旅をしてくる旅行者といえば当然道中に必要なお金を持っているために、追いはぎのような物盗りに狙われる可能性が高かったのだそうです。そのため、その防犯策としてその銭を拾う人たちの行為を許可していたのだとか。
 なるほど、それでどの絵にもその姿が描かれているわけだ。
 華やかな旅の陰で虐げられた生活をしていた人たちの様子まで分かるのは、絵という一目で様子を伝える事の出来る媒体のおかげでもあります。描かれてる事にちょっと目を向けるだけで、こんなにも理解が進むものなんだな、と感心しました。
 うーん、仏教や神道にも明るかったらこれだけの絵からももっと他の事が読み取れるんだろうか…。
 外国の洋画を観るときも、歴史背景や宗教を知ってると理解が進むのと同じなんでしょうね。人生、勉強やのぉ。

 いつもながらゆったり観れるというか、静かというか…。2階には「佐屋公民館」から借りてる札とかあったりして「なんと地域に密着した展示なのだ(笑)」とか感心したりもしましたが、立派な文化財が多数展示されており、もっと人が入っても良いのになぁと思わせられます。
 コレ見た近所の人、一度足を運んでくださいませ。。。