伝説のテレビドラマである。
主演が沢田研二。共演に藤竜也、若山富三郎、荒木一郎、安田道代(大楠道代)、篠ヒロコ(篠ひろ子)、悠木千帆(樹木希林)、細川俊之、伊東四朗、尾崎紀世彦(この人、うまい)、加藤治子……すごいメンバー。あ、主人公の妹役でわたしの好きだった三木聖子も出ています。
キャストがすごければスタッフはもっとすごい。プロデューサー兼演出が久世光彦、脚本がなんと長谷川和彦である。原作は阿久悠で、上村一夫が劇画化している。いちおう解説しておくと、久世光彦は「時間ですよ」「寺内貫太郎一家」などの人で、長谷川は「青春の殺人者」「太陽を盗んだ男」で有名。というかゴジ=長谷川和彦はこの2本しか撮っていない。
DVDの最終巻の特典映像に長谷川和彦が登場し、どのような経緯でこのドラマが製作されたかを語っていた。まず久世が、気鋭の脚本家として書きまくっていたゴジに声をかけ、主演がジュリーでネタは三億円事件だともちかける。この魅力的な申し出を断れる人は少ないだろう。はたして、このドラマは沢田*久世*ゴジによって異様なテンションで推移する。
特徴的なのは、当時としてはめずらしく同性愛的なムードを取り入れたことだろうか。元刑事である藤竜也は沢田を溺愛し、元妻である那智わたるからは「インポのお兄さん」と揶揄されている。沢田はミュージシャン(毎回、「時の過ぎゆくままに」→ジュリーの最大のヒット曲を歌う)だが、同時に男娼でもある。女性とのからみも過激で、安田道代がおっぱい丸出しの演技を見せたのには驚いた。
三億円事件がらみでいえば、計画者と実行者が実は違っていたあたりが妙味。面白かったなあ。とにかく、このころの沢田研二の美しさは比類がない。