事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

「オッペンハイマー」Oppenheimer(2023 ビターズ・エンド)

2024-04-11 | 洋画

製作はユニバーサルだから、本来であれば日本では東宝東和によって配給されるはずだった。監督はクリストファー・ノーランだから内容は折り紙つきだ(彼の映画がつまらなかったことは一度もない)。

キリアン・マーフィロバート・ダウニー・Jrエミリー・ブラントと雰囲気のある役者をそろえ、くわえてマット・デイモン、ケネス・ブラナー、ラミ・マレック(どうしてあんなに小さな役にボヘミアン・ラプソディの彼を……と思ったらそう来たかあ)、アインシュタインには「戦場のメリークリスマス」でミスター・ローレンスをやったトム・コンティ、そしてトルーマン大統領は……と豪華キャストなのである。世界興収は10億ドルに近い大ヒット。

しかし、日本公開は北米よりも半年も遅れ、配給会社もビターズ・エンドに変更された。なぜかと言えば、この映画はロバート・オッペンハイマーを描いた作品だからだ。

オッペンハイマーとはすなわち、原子爆弾を開発した人なのである。日本人にとっては、微妙な話だと。

ノーランのことだから、原爆プロジェクトは大成功だぜバンザイ、的な単純な話にするわけがない。複雑な個性をもつオッペンハイマー(女好きなユダヤ人で、左翼的傾向がある)が、なぜマンハッタンプロジェクトを成功させえたか、そして広島、長崎を経過し、彼がどんな思いでいるかがていねいに描かれている。

被爆者の悲惨さが描かれていない、という指摘はもっともだと思う。しかしそれをやると、主人公であるオッペンハイマーから観客の心が離れてしまうという懸念もまたあっただろう。まあ、セックスシーンで浮気相手をトップレスにしたためにR指定になったぐらいだから、少しは残虐な描写があっても観客はドン引きなどしなかっただろうと思うが。

アカデミー賞の主要部門をほぼ独占したこの作品を、はたしてアメリカ人自身がどう見たのか、そちらの方がわたしは気になる。とにかく、傑作です。必見。

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「許されざる者」レイフ・GW・ペーション著 創元推理文庫

2024-04-11 | ミステリ

北欧ミステリの大家が描く、CWA賞受賞作。有能で鳴らした元警察官僚が倒れ、しかし懸命に少女殺害事件を追う。途中で気づきました。わたし、これ1回読んでる(笑)

こういうことがこれから増えていくんだろうなあ。だから犯人はわかっているし、その後の展開も知っている。でも面白い。それは、初老の男の回復の物語だから。自分が年を取って、この方面で楽しめるようになりました。

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