事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

太陽を盗んだ男(’79 東宝)

2007-12-30 | 邦画

Laughing_bomb  この作品にはさまざまな冠がついている。撮らずの巨匠としてすっかり有名になってしまった長谷川和彦の最後の作品(今のところ)であり、胎内被爆児である長谷川が原爆を扱った問題作であり、沢田研二と菅原文太の夢の顔合わせという大作であり、しかももののみごとに大コケしてしまった作品でもある。

 当時絶好調だったプロデューサー山本又一朗(久しぶりに「あずみ」作ってます)でなければ実現できなかった企画であることは確か。なにしろ中学校の理科の教師が原爆を一人で作り上げ、政府に次々に要求をつきつけ、最後には……なんて映画、今では実現できるはずもない。

 当初の題名は「笑う原爆」。しかもこれ、東宝の番線にのったれっきとしたメジャー作品なんだよ。封切り当時は金もないからロードショーで観ることなどハナからあきらめていたが、名画座で観てぶったまげた。なんだこりゃー。一作目の「青春の殺人者」が、暗い題材(親殺し)を牛刀でぶった切るように観客に叩きつけた衝撃作だったのにくらべ、なんとまあ軽やかに娯楽作にしてしまっていることか。

 そうなのだ。何より意外だったのは、これが見事に面白い作品に仕上がっているってことなんだよな。その意味で、以降多くのプロデューサーが長谷川に大作のオファーをしたのはよくわかる。何か、期待させるのだ。角川春樹とケンカしたせいで実現しなかった長谷川版「人間の証明」観たかったなー。

Gozi ※当時のジジイ映画評論家からは総スカンをくった。プルトニウムを盗むシーンがまるでマンガだとか、池上季実子を海に放り投げるのが危ない(笑)だとか。馬鹿か。それが『映画』なのに。

 それにしても、である。以来20数年間、企画だけはニュースにのぼるものの、長谷川は一本も撮っていない。生活は麻雀と同居人の室井滋の金でなんとかなるのだろうが(笑)、いつまでもヒモ状態でいるタマでもないでしょうが。連合赤軍は原田真人が先に体制側から描いたのだから、その反歌として赤軍側からのあさま山荘事件を早く撮ってほしい。

 テロリスト教師沢田研二が要求した「プロ野球中継を試合終了まで続けろ」「ローリングストーンズを日本に呼べ」は既に実現。隠し撮りしたであろう当時の中央メーデーの「週休二日制を勝ち取ろう!」も現実のものとなった。でも、「長谷川和彦に映画を撮らせろ」という多くの映画ファンの願いだけは、未だに夢のままなんだから。原爆作るぞこら。

Laghingbomb ※「ときめきに死す」(森田芳光)と並んでテロリスト役が美しい沢田研二。オープニングの通勤風景はどんなMTVよりかっこいい。意外な大物が特別出演しているが、これは長谷川の人徳ざんしょ。

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2 コメント

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hori109さん、こんにちは^^ (cyaz)
2010-08-30 08:15:36
hori109さん、こんにちは^^
この映画を含め、『寝ずの番』『戦国自衛隊1549』にTBありがとうございましたm(__)m
やはりTBは何度やっても反映しないようです。

この映画、邦画の中ではなかなか秀作だと思います。
それは単にジュリーの起用と言うわけではなく、
その当時としては革新的な展開とテンポだったように思います。
あとに類似したものは幾つかありましたが(笑)

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いったいどうしてなんでしょう。 (hori109)
2010-08-30 21:57:25
いったいどうしてなんでしょう。
マドンナの横乳がどうしたのってネタはスルッと
入ってくるくせに(T_T)
どうもすみません。
せっかく長谷川和彦のデビュー作「青春の殺人者」を
リアルタイムで見ているというのに、市原悦子の腋毛の
印象が強すぎて……なーんて人間だからバチが当たっている
のかもしれませーん。
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