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事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

「田舎のポルシェ」 篠田節子著 文藝春秋

2021-08-06 | 本と雑誌

こ、これは傑作。早起きしてしまったので(そのままだと気持ちがブルーになるから)、とにかく何か読まなければと手に取る。あまりの面白さに一気読み。思えば篠田節子の小説を読むのは久しぶりだなあ。

三つの中篇からなる。タイトルはそれぞれクルマに関係している。

「田舎のポルシェ」

意味するところは軽トラのこと。RR(リアエンジン・リアドライブ)は日本人にとってポルシェとスバル・サンバーだけなので。

封建的な八王子の家を出て岐阜で公務員をやっている三十代の女性。台風が来るというのに実家に軽トラで米を受け取りに行くというお話。紫色のつなぎを着たヤンキーが運転手。

平成という世がなかったかのように、昭和と令和を直でつなげるような作品。庭石に何百万もかけるくせに「女に教育はいらない」と虐げられる娘。これが東京のお話か、と思うくらいだが、八王子市役所に長くつとめた篠田だから書けるわけだ。運ぶのが日本の象徴である米。その米が生む奇跡

田舎暮らしに軽トラは必需品だ。とにかくなんにでも使える。キャビンが狭いからエアコンもすぐ効くし(笑)。スバルが軽トラの製造から撤退して久しい。もうかる車種ではないのは重々承知。また作ってくれないかなあ。

「ボルボ」

二十年落ちのステーションワゴンで旅する二人の初老の男たち。ガタが来たクルマは彼らをシンボライズしているかのよう。そしてそのボルボが最後に……。かわいいだけだと思っていた若い妻が、どんどんキャリアアップしていくことにとまどう夫、という設定もにくい。

「ロケバスアリア」

苦労に苦労をかさねた女性(彼女は苦労だと思ってはいないが)が、あることをきっかけに浜松の音楽堂でアリアを独唱する。そのDVDを製作するディレクターがちょいと嫌味な男なのかと思わせて……

三作とも絶品。ぜひ読んで。

コメント (2)
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うまい店ピンポイント 2021年夏休みラーメン祭り 新月

2021-08-06 | 食・レシピ

味龍篇はこちら

「超人気店、新月に行ったら、行列の前にいたのは同僚だった」

「伍長、今までも何度かあったじゃないですか」

「こんなところで特殊業務の報告書出せってリクエストするのは無粋じゃのー」

「中学の事務職員あるあるですね」

……新月に入るには運不運がある。営業中のシルシである回転灯が回っていても、外にまで行列があるとしんどい。この日は猛暑日だったし。

あれ?駐車場に空きがあるし、行列もない。じゃー入るか。

風除室には一組しか入れないルール。わたしは独りなのでボーッと立っていたけれど、店内にいた行列の最後の人間が同僚だったの。でえええ。

彼女は検診明けなので、絶対にここで食べるんだと意気込んでいた。おれが海鮮どんやとびしまに向かうのといっしょか。で、若いんでバリウム飲んでないからこんな悠長なことができるんだな。

ああうらやましい(笑)。

次回は特別編、新庄のエンジェルズでございますよ。

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