Vol.1はこちら。
この、現実には存在しないシーン(あるいは人物)をものまねする元祖は三上寛だろう。彼が若いころにタモリなどに向けて放った
『警察学校時代の教官だったミサキ先生』
は驚異的に“似ていた”。ただし、聴衆のなかの誰もそのミサキ先生を知る者がいないあたりがもっと驚異的(笑)。ミサキ先生は実在するらしいけどね。
“細かすぎて~”のネタのほとんどは、このミサキ先生パターンだ。つまり最初から、王道のものまねとは一線を画していたのである。主な出演者とそのネタはこんな具合。
・弾丸ジャッキー……マニアックな体操選手(女子もふくむ)
・くじら……釣り人、ハチの巣とり、マタギなどのスターを、さも実在するかのように(するのだろうが)自然に演じる。
・博多華丸……児玉清はすでに定番。近ごろは、主に西日本でオンエアされる通販のトーカ堂の社長ネタ「19万8千円~」
・360°モンキーズ……有名じゃない助っ人外国人野球選手ネタ。♪でぁ・でぁでぁでぁ♪と、バースのテーマに乗って完璧に披露。ただし、日ハムにいたイースラーのネタをやる前に落下させられてしまう。
……イースラーはとんでもないバッティングフォームだったのでおぼえている人も多いだろう。でも、そんな特徴的なものまねは(たまたまだろうけれども)やらせてもらえないのである。この選手権がいかにひねくれているかがわかる。
しかしこんな細かすぎるネタも、くりかえされればそれが王道に変化する。そして飽きられていくのが常だ。
だが、「細かすぎて~」は、そんな飽きすらもネタにしていく。多くの芸能がたどる道筋を、超高速で“批評”してしまうのだ。
次回は、そんな前衛な芸人(にかぎらないが)を紹介しよう。わたし、彼らが大好きなんです。
Vol.3につづく。