事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

ガリレオを全部観る 06 夢想る(ゆめみる)

2014-04-04 | ミステリ

4393c928s 05「絞殺る」はこちら

かなり複雑な回だ。ある若い男が

「会いに来て……部屋の窓を開けておくわ」

という“声”に導かれ、ある屋敷の二階によじ登る。部屋に寝ていたのはその家の一人娘。確かに窓の鍵は開いていた。ベッドで眠る娘に近づく男。そこへ娘の母が現れ、男を銃で撃つ。負傷した男は窓から逃げ去っていく……

若者、坂木を演じるのは新井浩文。娘はなんと堀北真希。発砲したのは手塚理美という豪華版。坂木は内海刑事の幼なじみであり、職業はなんと占い師。水瓶を使った彼の占いは相当にうさんくさい。

というか「こんなのホントなわけないだろ」と占い師自身がネタを割っちゃってます。彼の店の名前は「モリサキレミの占いの館」。堀北の名前も森崎礼美。しかも若者は小学校の卒業文集に幼い字で「ぼくの夢はモリサキレミと結婚すること」と書いている。その当時、森崎礼美は生まれてもいないのに。

冒頭の「会いに来て」は、占い用の水瓶に浮かんだ文字だった。なぜ水の上に字が浮かぶのかの謎は、思いのほかあっさりと解決。炭水化物の上に油で描く、つまりオブラートに油性ペンで書くという単純なもの。確かに、シンプルなトリックでなければ犯人像と背反してしまう。

「三角おやねがありました しゅろの木にょきにょき生えてきて 二匹のかいじゅうガオーガオー」

幼いときに内海と坂木がある人物に教えられた歌にヒントはあった(東野はマザーグースを意識したはず)。犯人の動機や、その昔にどんなドラマがあったかを想像させる結末はなかなかいい。計算式を湯川が書き殴るのは水滴のついたパトカーの窓。「バルカン超特急」です(笑)

「科学者は決して人間嫌いではない。ニュートンがそうであるように。ガリレオがそうであるように」

世慣れない、人間嫌いに見える科学者の方が、人の心の邪悪さを理解していた結末。でもたったひとつ、閉じ込められた船底から携帯を放り投げてメールを送ろうとがんばるシーンは、味はあったけれども(変人ガリレオの献身だ)、それどういうことなのかさっぱり。これでもわたしスマホ使ってますけど。

07「予知る」につづく

コメント
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