第十四話「引き裂かれた姉妹」はこちら。
前回の視聴率は予想に反して14.9%まで戻している。そうかあ、みんな絶叫芝居の方が好きなんだあ。
というのはわたしだけの思いこみのようで、パブ記事などによると、官兵衛はこれからある出来事によって一気に暗い人物になるのだそうで、だからこそ今は過剰に明るく傷つきやすいキャラに描かれているらしい。
それって、アナキン・スカイウォーカーがダークサイドに陥る前にアニーと呼ばれて愛されていた演出といっしょ?
さて今回のダースベイダーは、例によって例のごとく播磨の政治状況に翻弄される。秀吉のチカラ押しもあって一気に播磨を平定したかにみえたが、西の毛利との闘いの前に、東の身内である別所が寝返ってしまう。
義兄である櫛橋左京進は、官兵衛が織田に肩入れしたせいでこんな事態になったと面罵。あーこいつはなにもわかっちゃいない……という演出。
そうだろうか。わたしは前から思っているけれど、ファナティックな(少なくともそう見える)織田信長につくか、未熟な当主であろうともまだしも理解可能な毛利につくかは微妙なところ。
安国寺恵瓊でなくても、織田が「5年……いや3年」保つかと訝るのは理解できる。茶会に参加できるかどうかで評価がはっきりと出るようなわかりやすい成果主義の男につくことで、はたして領民を安堵できるのか。
いやーすっかり殿様気分で視聴しちゃいました。というのも、わかりにくい政治情勢をおね(黒木瞳)やお濃(内田有紀)によって解説させるあたり、特に男性視聴者を殿様気分に誘導していますもの。秀吉が播磨を切り取り御免だとされても「(播磨は)プライドばっかり高くてなんもおいしくありませんよおみゃー様」とコメントする政治評論家のおねは鋭いですか兵庫県民のみなさま。
いつも沈鬱な明智光秀(春風亭小朝)や、嫌みな滝川一益(川野太郎)、そしてある出来事に官兵衛を引きずり込む荒木村重(田中哲司)のテンパり具合など、ダークサイドへの準備は着々と進んでいます。
キャスト的には、死亡フラグが立ったことでなお凄艶になった高岡早紀におじさんクラクラ。となりで妻が見ているのに、そこをボーッと注視するあたりも殿様気分です。いやそれにしても「男の悋気は見苦しいのー」と鶴太郎に語らせた瞬間に焼いたお餅のインサートショットというのはわかりやすすぎないっすか。
ということで、世の殿様たちもご同様ではないかと今回の視聴率は15%までもどすと読みました。そんなにマニア多くないか。
第十六話「上月城の守り」につづく。