仁義なき戦い篇はこちら。
「実録・共産党」の企画は、岡田社長が「代々木の動員が見込める」といういい加減さで実現しそうになっていた。昭和49年のころ。主演は吉永小百合、脚本笠原和夫、監督深作欣二……まさに、夢の企画だけれど、いかにも危うい。
脚本は完成していたものの、やはり代々木から横やりが入り(入るに決まってるじゃないですか)、お蔵入り。
ところが、この企画がふたたび浮上する。角川春樹が「犬神家の一族」で映画界に殴りこんできたとき。タイトルは「いつか、ギラギラする日」と変えて第二弾はこれでいくと。主演は川口晶。
この話が再び動き出したのは、要するに角川さんが川口晶と親密だったからだ。川口晶は、こんな大きな映画のヒロインになれるなんてと意気込んでいた。わたしが笠原さん、作さん、角川さんと打ち合わせを重ねているうちに、なんだか変な雲行きになってきたなと思っていると、企画が突然空中分解してしまった。角川さんと川口晶が別れたのだ。それでおしまい。
……そうだったのかあ。わたしは高校時代に、角川もすごい企画もってるなあと期待していたのに、こんなことでつぶれてしまったのか。思えば「犬神家の一族」のキャスティングも不可解なもので、どうしてここに恒と晶の川口兄妹(川口松太郎と三益愛子の子どもたち……まもなく大麻がらみでそろってフェイドアウト)を起用したのかと思ったら、そういうことだったのね。
愛人がらみでこんなネタも。
(深作欣二監督の「青春の門」の時)わたしが、作さんと松坂慶子の仲を知ったのは、映画が出来上がった後だった。キャンペーンで札幌に行った時、一晩の締めくくりに大勢で有名なラーメン屋に入った。そこで監督の残したラーメンを女優が啜ったのを見て、(あっ、これは!)と感づいた。わたしが自分の目ざとさを周囲に自慢すると、みんな呆れ顔で「何を今さら言ってるんですか」。
鬼龍院花子の生涯篇につづく。
シネマの極道: 映画プロデューサー一代 価格:¥ 1,365(税込) 発売日:2012-12-21 |