絶叫委員会 価格:¥ 1,470(税込) 発売日:2010-05 |
歌人、という存在がどうにもわからなくている。いったいどの時点でその人は和歌を詠んで暮らしていこうと思うのだろう。どんな方法によって生活できるのか。だからわたしにとっての歌人のイメージは、よほど財産があるか、よほどの世捨て人か。
でも穂村弘はそのイメージを裏切っている。軽妙なエッセイはおみごとだし、システムエンジニアを経由して総務課に勤務しているってのがすごい(今は辞めていますが)。歌人総務課長!
さて、この「絶叫委員会」は世間にあふれる言葉の海から、穂村がピックアップした不合理でおかしな言葉の数々。以下は、引用です。
「親分を親爺と呼び、親分の奥さんを何故お袋と呼ばずに姐さんと呼ぶのか、わかりますか?女はこの世界では七三の格下だからですよ」
(全日本源清田連合会松野宗家五代目八戸神農同志会会長 相馬正男)
映画のなかの恋人たちはうつくしいのに、実際に街角でみるカップルの多くが醜いのは何故なのだろう。単純に俳優と一般人の容姿の違いというだけが理由ではないように思う。たぶん、現実のカップルは本当にいちゃついているから、きれいにみえないのではないか。「仲よきことは美しき哉」という武者小路実篤の言葉は、ヴィジュアル的にはウソだと思う。
「愛情がなくなりました」
宮沢りえとの婚約解消時の記者会見で破局の理由を尋ねられたとき、当時大関だった貴乃花の発言。
……理不尽さが芸になっていることを、穂村の指摘で納得。穂村の耳の確かさがわかる。さすが、歌人なり。さすが、炎を名のるだけのことはある。