三銃士のお話を初めて読んだのは小学校の低学年ぐらいだと思う。偕成社かポプラ社のジュニア向けを買ってもらったのだ。
夏休みに親戚のうちで読み始めたら、あまりの面白さにやめることができず、一気呵成。読み終えて呆然としていた夕暮れの食卓の風景までまだおぼえている。
そりゃ、そうだよね。田舎からパリに出た若者が、三人の手練れと次々に決闘をするはめになったり、王妃の首飾りを舞踏会の夜までに持ち帰らなければならなかったり、物語として完璧。これが面白くなければ世の中に楽しめる娯楽小説なんて存在しない。おそるべしデュマ。さすが大デュマ(こう書くと小デュマの立場ないですな)。
映画はなんといってもリチャード・レスター版。役者たちと一本分の契約しか結んでいないにもかかわらず、続編の「四銃士」までちゃっかり撮影していて大もめ。枢機卿にチャールトン・ヘストン、ダルタニアンの愛人コンスタンティンに妖艶なラクエル・ウェルチ、そして悪女ミレディにわがフェイ・ダナウェイ!
さて新作「王妃の首飾りとダ・ヴィンチの飛行船」は、ミレディにミラ・ジョヴォヴィッチを配して監督は旦那のポール・W・S・アンダーソン。つまり「バイオハザード」コンビなのでミレディが(例によって縦横に飛び回って)キレのあるアクションを見せてくれます。
およそ豊かな胸とは無縁のはずだったのに、胸元からのはみ乳がセクシー。コスチューム・プレイとは便利なものですな。吹替がまことに意外な女優で、最後まで気づきませんでした。
原作が古典として名高いのだから、あとは味付けの問題。飛行船同士の対決で、嵐を利用するという、まんまラピュタかよという展開は楽しめました。
三銃士たちの奮闘が、ごたいそうな目的ではなく、王妃の不倫疑惑(原作ではやっちゃってます)を晴らすという、しょうもない感じなのもいい。
クリストフ・ヴァルツは枢機卿役をやるためにいるような俳優だから、ぜひともシリーズ化してほしいものだ。まさか、今回も二本分撮ってるってこたないだろうけれども。
※ドイツ資本で撮られた影響か、北米市場ではほとんどヒットすることなく終わっているので油断はできない。