事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

「待ってる 橘屋草子」 あさのあつこ著 講談社

2011-09-15 | 本と雑誌

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待ってる 橘屋草子
価格:¥ 1,680(税込)
発売日:2009-02-05
「女郎あがりのくせに」と悪態をつかれながら、橘屋という料理茶屋を支え続けるお多代というヒロインがかっこいい。橘屋に集まり続ける登場人物たちが、ハードボイルドな彼女のおかげで光り輝いて見える。

悪役もふくめてキャラの濃い人物がたくさん出てくるけれど、多代という支柱があるために、まるで「七人の侍」がチームとして成立する過程を見ているみたい。あ、すると多代は志村喬っすか。

こうなるとラストはちょっと急ぎすぎた感じ。「弥勒の月」と両輪でシリーズ化するという線もあったと思うなあ。なにしろやっぱりあさのあつこは時代小説にかぎりますもの。

なんで時代小説じゃないとしんどいかというと、登場人物たちのキャラが“理にかなっている”あたり。

これが現代劇だったら、わたしは「ちょ、ちょっと待って。そりゃ確かにこういう人はこういうセリフを言うだろう。でも、そこを裏切る部分がふつふつと煮立ってるのが現実じゃない?」と突っこみたくなるから。時代劇は、定型を守ることでむしろ引き立つわけだしね。現実のわたしは、煮立ってます。

コメント
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