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YouTube: JACK NICHOLSON-CHINATOWN-Final scene
PART5はこちら。
ジェイクが事件に深く立ち入ることができたのは、かつて検事局にいたことが影響している。元同僚たちから情報を得ることができたので。そんなジェイクは、なぜ検事局を辞めたのか。どうやら事件関係者である女性に肩入れしすぎたためらしい。
「その人……死んだ?」
とベッドで質問するイブリンがちょっと怖い。巨悪に対して何もできない役人だった自分を「なまけ者」と絶望してジェイクは辞職したようだ。
今回の事件でも、イブリンと娘(くどいようだけど妹でもある)のメキシコへの逃避行を助けようとするジェイクに元同僚は
「こりねー野郎だな“You’ve never learn, do you?”」
と3分間の猶予を与え、ジェイクは貸しのあったカーリーに頼んで追っ手から逃れる。イブリンと娘は中国人執事の自宅にいったん身を寄せ、ジェイクの助けを待つ……舞台はジェイクの元勤務先、チャイナタウンに移る。
わからないのはここからだ。ノアがキャサリンを捜すのは愛情を注ぎたいから?金はうなるほどあるのに、なぜ盟友であるホリスを殺してまで利益を求める?
違う。ノアはひたすらにあらゆるものを欲しがるだけなのだ。口を大きく開けた白い鯨のように。そんな父親であり、恋人だったノアから逃れたいイブリンは、キャサリンを奪おうとするノアを撃つ。車を走らせる母娘を検事局の人間は銃撃し、車は停車。クラクションが鳴り続ける。一拍おいて、女性の金切り声がひびく。
……イブリンは頭を撃ち抜かれ、絶命している。「俺たちに明日はない」よりもはるかに少ない銃撃だったのに。キャサリンはノアの腕に抱かれ(こんなシーンあったっけ?!)、ジェイクは絶望のセリフを。
「(この街は)なまけ者の街だ」
自分の無能さ、役人の無能さ、そして巨悪が生き残ることへの絶望。元同僚はこうつぶやく。
「ジェイク、家に帰れ。ここはチャイナタウンなんだ」
チャイナタウンという名を借りた、ロサンジェルスという何でもありな街の混沌。名ラストシーンと言うべし。傑作。
「八つ墓村がわからない」につづく。